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はじめまして。鈴木幸多朗です。QuizKnockでは主に動画の校閲やクイズの作問を担当しています。

幼い頃からクイズ番組を見るのが好きだった私は、大学で念願のクイズ研究会に入会し、卒業までの4年間クイズ漬けの毎日を過ごしました。今回はそんな大学生活の集大成となった「思い出のクイズ」について紹介します。

4年間憧れ続けた舞台

みなさんは「abc」というクイズ大会をご存じでしょうか。abcは大学4年生以下を対象とする日本最大級の早押しクイズ大会で、「基本問題No.1決定戦」というコンセプトのもと、学生たちがしのぎを削ります。

私とabcとの出会いは大学1年生の3月に開かれたabc the17thに遡ります。800人以上の参加者、会場を包む熱気、繰り広げられる鋭い押しの応酬。全てに圧倒されました。そのときは、筆記クイズのラウンドを通過できず、早押しボタンに手を掛けることすら叶いませんでしたが、次こそは自分もあの舞台に立ちたい、そう強く思いました。

この日以来、abcで好成績を残すことを目標に、日夜クイズに打ち込みました。

翌年以降は筆記クイズこそ通過できるようになったものの、2年連続して次の2nd Roundで敗退。なかなか満足のいく結果が出せませんでした。abcに参加できるのは大学4年生まで。今年はラストチャンスでした。

そして迎えた最後のabc。とにかくクイズを楽しもう、悔いが残らないよう全力を出し切ろうという姿勢が功を奏したのか、なんと決勝に駒を進めることができました。

夢に見た決勝戦。まさか優勝できるなんて…

決勝のルールは「トリプルセブン」。7つのセットからなる早押しクイズを3人で行い、3セットを先取した人がabcの優勝者となります。

夢にまで見た決勝の舞台。第1セットを獲得し、幸先の良いスタートを切ります。しかし、相手もここまで勝ち上がってきた猛者。第2・第3セットを連取され、一転窮地に追い込まれます。背水の陣で臨んだ第4セット。苦しい展開を強いられるもなんとか気合で奪取し、勝負は第5セットへ。

第5セットは途中で1人が失格となり、既に2セットを獲得している自分ともう1人の一騎打ちに。泣いても笑ってもこのセットで優勝者が決まります。その後、互いに正解を積み重ね、2人とも優勝まであと1ポイントに迫ります。しかし、次の誤答で即失格の相手に対して自分は1度なら誤答できる余裕がありました。

次の問題は絶対にボタンを点ける。そう腹を括って全神経を集中させる。

「問題。あれが――」

「あれが」。クイズではあまり耳にしない特徴的な文字列。ある程度のヒントとなる情報が文頭から来そうだ。ここで勝負をかけるしかない。覚悟を決めてボタンを押した。

「――デネ/」

手元のランプが点滅する。あとは3カウントの間に答えを導き出し、口に出すだけ。

幸いにも必要な情報は5文字で出尽くしていた。何が問われているかを瞬時に把握した。しかし、肝心の答えが脳内から引っ張り出せないまま時間が経過していく――。

カウントが0になる直前、ある言葉が脳裏に浮んだ。自分が求める答えと一致している確証はなかったが、何も答えなければ正解は生まれない。

自分の直感を信じて私はその言葉を口にした。

「君の知らない物語!」

正解を告げる音が会場に鳴り響く。

まさかabcで優勝できるなんて……。あまりにもできすぎで、夢でも見ているようだった。

初めてabcに参加したあの日。真っ暗な客席から見上げる壇上はきらめいていて、この舞台には自分の大学生活を懸ける価値がある、そう思えました。あれから3年、まさか自分がabcのチャンピオンになっているとは想像もしませんでしたが、abcや競技クイズのおかげで充実した4年間を過ごせたと胸を張って言うことができます。

これを読んでくださった皆さんがabcに、そして競技クイズに少しでも興味を持ってくだされば幸いです。興味と共に新たな一歩を踏み出したとき、「あなたの知らない物語」が始まるかもしれません。


「思い出のクイズ」のバックナンバーはこちらから。

過去のabcの優勝者による「思い出のクイズ」はこちら!

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