すっかり草木も色づいてまいりましたが、皆さんどうお過ごしでしょうか。週末には紅葉狩りに行く、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ところで、どうして紅葉を見ることを「紅葉狩り」と言うのでしょう? 同じような行事でも、桜を見ることは「花見」というのに……。
「狩り」にそういう意味がある
言葉について気になったなら、まずは辞書にあたってみるのが鉄則でしょう。
ということで、さっそく辞書で「狩り」を調べてみると、
山野に行って、花などの美しさを観賞すること。桜狩りやもみじ狩り。
(日本国語大辞典「かり」)
とありました。どうやら「狩り」という言葉は、動物の狩猟と同じ感覚で、たとえ実際に採取しなくても、植物について同じように使えるようです。
じゃあ「花見」は?
ところで、先ほどの辞書の説明には「桜狩り」なる単語が載っていました。では、どうして一般には「花見」と呼ばれるのでしょうか?
ここには、平安時代まで遡る事情がありました。平安貴族たちは、桜を自邸に植え、その美しい花を楽しんでいました。しかし、紅葉は山まで行かないと見ることができませんでした。
つまり、桜は見ることができましたが、紅葉は狩りに行かなければいけなかったのです。こういった事情から、「紅葉狩り」という表現が定着したのではないか、と予想されます。
また、実際に赤くなった葉っぱを拾い集めたことも、紅葉を「狩る」と表現する理由のひとつと言えるでしょう。