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解説
正解は唐の詩人・韓愈でした。
ヒント1:「読書の秋」の由来とされる詩を書いた
「読書の秋」の由来となったといわれているのは、韓愈の『符読書城南』という詩の一節「灯火稍く親しむ可く」です。
この詩は、涼しく長い秋の夜は灯の下で本を読むのに適している、という意味で、ここから「秋が読書にふさわしい季節」との認識が広がったとされています。
▲爽やかな秋は読書にぴったり
ちなみに日本では、明治時代に夏目漱石が小説『三四郎』の中で「燈火親しむべし」を引用したことでこの言葉が広まり、大正時代に始まった「図書館週間」(のちの「読書週間」)も秋に実施されたことから、「読書の秋」のイメージが広まったといわれています。
ヒント2:「推敲」の故事で有名
「推敲」は、詩や文章を作る際に、字句や文章を何度も吟味して練り直すことを意味する故事成語です。
唐の詩人賈島は、「僧は推す月下の門」という自作の詩句について、「推す」よりも「敲く」の方が良いのではないかと思い悩みます。そうして考えているうちに、都の長官であり詩人でもある韓愈の行列に衝突してしまいます。賈島は韓愈にどちらが良いか問うたところ、韓愈は「敲く」が良いと答えました。ここから「推敲」という言葉が生まれたのです。
ちなみに韓愈が「敲く」を推したのは、一説にはその音響効果を意識してのことといわれています。確かにただ単に門を押すよりも、ノックする音がした方が五感に訴えかける感じがしますね。
ヒント3:唐宋八大家のひとり
「唐宋八大家」とは中国の唐・宋の時代(7~13世紀)に活躍した、8人の優れた散文作家の総称です。
唐の前期までの中国の詩文は、対句を重視する四六駢儷体という文体が流行していましたが、韓愈はこれを「形だけ綺麗で中身のないもの」と批判し、より自由な形式で儒教の精神を表現すべきだと唱えました。この古文復古運動以降、漢詩は音のリズムにこだわらない散文がメジャーになり、優れた散文を作る者たちは唐宋八大家と呼ばれたのです。
唐宋八大家に数えられる詩人には、韓愈とともに古文復古を推し進めた柳宗元や、中華料理の東坡肉を好んだと伝わる蘇軾(蘇東坡)、新法と呼ばれる宋の大規模な政治改革を行った王安石などがいます。
▲トンポーロウ。豚の角煮と似ている
解説を最後まで読んでくださりありがとうございました。ぜひ次回の「今日の一問・社会編」にも挑戦してください!
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