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解説
正解は「水銀」でした!
水銀は元素記号Hg、原子番号80の常温で液体の金属元素です。環境や人体に有害な反面、液体の金属という特有の性質から、人類の歴史に度々関わっています。
▲via Wikimedia Commons by Marie-Lan Taÿ Pamart CC BY 4.0
ヒント1:圧力の単位を定義するのに使われています。
水銀は圧力の単位「mmHg(水銀柱ミリメートル)」の定義に用いられています。
水銀柱ミリメートルはトリチェリの実験に深く関係しています。水銀で満たした長い管を同じく水銀の入った容器に立てると、管の中の水銀が必ず約760mmの高さで止まります。これは760mmの水銀柱にかかる重力と、容器の水銀にかかる大気圧が釣り合っているためです。この圧力(1気圧)を「760mmHg」と表し、1mmの水銀柱がもたらす圧力としてmmHgが定義されました。
よく天気予報で「気圧が1000hPaを下回る予想です。」などと耳にするように、現在は圧力の単位として「Pa(パスカル)」が一般的です。しかし、現在でも血圧の単位としてmmHgが使われています。
ヒント2:奈良の大仏の金メッキにも利用されました。
水銀と他の金属との合金をアマルガムといい、金属の比率によっては常温で液体にもなります。水銀と金でできたアマルガムを加熱すると、水銀が先に蒸発して金だけが残ります。
奈良時代に東大寺の大仏(盧舎那仏像)が建立された際は、この手法を使って金メッキが施されました。しかし、その過程で発生する水銀の蒸気によって、大仏の造立に関わっていた多くの職人が水銀中毒になってしまったといわれています。
▲今は暗い色の大仏も昔は金ピカだったんです
ヒント3:硫化物の「辰砂」は始皇帝が不老不死を求めて摂取しました。
辰砂は水銀と硫黄でできた赤っぽい鉱物で、中国では漢方薬の一つにもなっています。古代中国では「錬丹術」という術の研究を通じ不老不死などの効果があるとされる丹薬が探し求められ、その丹薬の主成分として使われていたのが辰砂です。
秦の初代皇帝・始皇帝をはじめ、以降の皇帝も丹薬を摂取し、数人は水銀中毒が原因で死亡したと言われています。
▲辰砂の赤色は顔料にも使われました (via Wikimedia Commons by JJ Harrisont CC BY-SA 3.0)
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