突然ですが、このグラフを見てほしい。何の割合を示したものか、わかるだろうか。
▲何の割合を示したもの?
正解は、映画『風の谷のナウシカ』に登場する、「来ちゃダメー!」のときの「あの歌」の歌詞の内訳だ。
▲「来ちゃダメー!」のあのシーン(画像出典:スタジオジブリ)
『風の谷のナウシカ』のあの曲は、『王蟲との交流』というタイトルがある。歌詞はJOYSOUNDのカラオケ・歌詞検索を参照したが、曲の著作権を管理するJASRACの作品データベース検索サービスを見ると、作詞者が登録されていない。この歌詞はカラオケで歌う需要に応えてつけられているものだろうか。
『王蟲との交流』において、最も多くの割合を占める「ラ」の登場回数は115回で、「ン」の1.7倍くらい。1回だけ「ラー」が登場する。
しかし、「『ラ』が多いのか、少ないのか、いまいちイメージしづらいな」という人もいるだろう。そんな人のために、身近なものでたとえてみよう。割合が近いものとしては、最も昼の時間が長くなる「夏至の日」の昼と夜の割合だ。
▲国立天文台「日の出入り」より(2022年6月、東京都)
夏至の日に、おひさまが昇っている間は「ラ」、沈んでからが「ン」だ。厳密には7分ほど「ー」の時間もある。「なんだ、18時半でも結構明るいな」と思ったとき、それはラの時間だ。
▲やっぱり似てますね
そういう割合を求める記事です
割合がわからないと夜も眠れない人のために、もう少しこの世界の割合を調べてみよう。
1981年の放送開始から愛され続ける不朽の名作ドラマ『北の国から』。このドラマといえばこの曲、さだまさし氏が歌う『北の国から』の歌詞の内訳はこれだ。
▲歌詞はJOYSOUND参照
『北の国から』の歌詞において、最も多くの割合を占めたのは「ン」だった。
JASRACの作品データベース検索サービスによると、正式なタイトルは『北の国から-遙かなる大地より-』という。こちらも作詞者は登録されていない。
▲棒グラフもどうぞ
歌いだしが「ア」のためか、全編「ア」なんじゃないかくらいのイメージだったが、最も多くの割合を占めるのは「ン」の38%だ。口を閉じて歌うハミングの「ン」。歌詞を見てみると、「ア」で始まって「ン」で終わっている。五十音のルールに則っているじゃないか。
それに、さきほどの『王蟲との交流』より「ン」の割合が少しだけ大きい。ちなみに、日本語における「ン」の出現頻度は6%ほどらしいので、ふだんよりかなり「ン」が活躍している。さながら「ン」の劇場版だ。
「やっぱりあまりイメージできないな」という人のために、割合が近そうなものを紹介する。令和2年における「荒茶(精製していない茶)」の産出額の都道府県内訳だ。
▲農林水産省「生産農業所得統計(令和2年)」参照
ちなみに、茶(荒茶と生葉)の産出額は、令和元年の調査では、これまで首位をひた走ってきた静岡を鹿児島が超えるというお茶界のエポックメイキングな出来事があった。令和2年では静岡県が巻き返しているようだ。これが静岡の底力か。
北海道という雪国で生活を紡ぐ家族に思いを馳せていたつもりなのに、いつの間にか温暖地域の農業事情のことを考えてしまった。
▲ちゃんと「小さな家族の大きな愛の物語」に思いを馳せよう
最後に問題です
この世界にまた一つ新たなトリビアが生まれた。『北の国から』の歌詞の38%は「ン」。またいつかこの曲を聞いたときは、思い出してほしい。