身の周りで出会った気になる言葉を紹介するコーナー「気になることば」、第2回を担当します長尾です。
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
この書き出しから始まる昔話といえば?
そう、「桃太郎」です!
日本人なら当たり前のように暗唱できるこの冒頭部分ですが、ふと「なんでおじいさんはわざわざ草を刈りに行っているんだろう」と疑問に思いました。「洗濯は毎日するべきだけど、草刈りはそんなに頻繁にするものでもないのでは?」と思い、調べてみると驚きの事実が判明しました。
おじいさんは芝刈りに行ったのではない
私たちにとって一番身近な「しばかり」といえば草を刈る芝刈りです。私はおじいさんが山でおこなっていたのもこの芝刈りだと思っていました。
▲私たちが想像する芝
しかし、おじいさんは草刈りに行ったのではありません。
「柴刈り」に行っていたのです!
「柴」は、小さな雑木や枝の総称。かまどなどの燃料として使われていました。小さくて乾燥しているため、薪割りや乾燥の必要がなく、折ってそのまま使うことができます。
▲おじいさんが刈りにいった柴(イメージ)
つまり、桃太郎のおじいさんは燃料にするための小さな枝を取りに山へ行っていたのです。
実はあの人も柴刈りをしていた?
現代では柴刈りの光景を目にする機会はほとんどありませんが、実はこんなところに柴刈りをしていた人が!
▲二宮金次郎(尊徳)像
学校などで銅像としての姿を目にすることができる、二宮金次郎(尊徳)です。二宮金次郎像といえば、背に小さな枝をたくさん背負い読書をしながら歩く像をイメージする方も多いのではないでしょうか。
二宮金次郎像には柴より太めの薪を背負ったものもありますが、写真のように細い枝を背負ったものもあります。この細い枝こそが柴です。今までどちらも薪だと思っていたけど、違う名前があったとは……。
もはや聞き慣れすぎて「しばかり」という言葉に疑問を抱くこともなかったので、「しばかり」が自分の知らないものだったと知り、とても驚きました。
桃太郎以外の昔話にも、現代ではあまり見聞きしない、「結局何なの?」と思うものが意外とたくさん登場するのではないでしょうか。小さい頃に聞いていたものはほとんど忘れてしまったので、久々に読んでみたいです。
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