問題の解説
第1問
1、3、6、10のように「1+2+3+4+……」と足していったときに現れる数は、三角数でした。『数の悪魔』では「三角形の数」と呼ばれています。
なぜ「三角数」なのかといえば、次の絵をご覧ください。
こうやって三角形に点を並べていくと、合計は1+2+3+4+5=15個などとなりますね。だから三角数というわけです。
第2問
分数の形で表せないのは「無理数」。ルート2や円周率πなどがこれにあたります。
『数の悪魔』には、1辺の長さが1の正方形の対角線の長さがルート2になることの説明や、無理数が自然数などより数が多い(ざっくりした書き方ですが)ことが書いてあります。
第3問
6人をA、B、C、D、E、Fと名付けると、ペアを作る方法は
AB、AC、AD、AE、AF、BC、BD、BE、BF、CD、CE、CF、DE、DF、EF
で合計15通りでした。高校数学の組み合わせを習っている人は(6×5)÷(2×1)=15と計算できます。
同じように書き出したり計算したりして考えると……
2人から2人選び出す方法は1通り
3人から2人選び出す方法は3通り
4人から2人選び出す方法は6通り
5人から2人選び出す方法は10通り
6人から2人選び出す方法は15通り
……気づきましたか?実はこれも第一問の三角数になっているんですね。
第4問
この図は「パスカルの三角形」。一番上に1を書き、そこからは上にある2つの数字を足したものを書いて下に伸ばしていきます。
斜めにみてみると、一番左の列は「1、1、1、……」となっていて、2列目は「1、2、3、4、5……」となっています。
では3列目はというと……また出ました! 「1、3、6、10、……」三角数が並んでいます。
実は、パスカルの三角形は第3問で出てきた組み合わせも示しています。n人からm人取り出してグループをつくる場合の数は、上から(n+1)列目、左から(m+1)番目の数字を見るとわかります。例えば6人から3人選ぶ組み合わせは20通り。
パスカルの三角形は他にもいろいろなマジックが隠れていて、『数の悪魔』でもいくつか紹介してくれます。
第5問
無理数、自然数、正の偶数、三角数のうちよりたくさんあるといえるのは無理数。
これらはどれも無限個あるわけですが、こういうものを比べるときは、1対1対応ができるかどうか考えるのです。
例えば自然数と偶数について考えてみましょう。
自然数は1、2、3、4、……で、正の偶数は2、4、6、8……。ぱっと見自然数の方が2倍多いですが……。
自然数1と偶数2、自然数2と偶数4、というように、自然数nと偶数2nを対応させると、1対1の対応ができます。
なんと自然数と偶数は個数が同じ(正確には、濃度が同じ)といえるというわけです。
これ、大学レベルの内容なのですが、かみ砕いてしっかり『数の悪魔』に載っています。
なお、無理数はこの対応が付けられないことが知られています。内容は大学で習うものですが、理屈は中学生でも理解できるレベルなので、関心のある方は調べてみてください。
高校レベル、大学レベルの内容もこっそり埋め込まれている『数の悪魔』。これだけの内容を子どもでも簡単に読めるレベルに落とし込んだ技には、感嘆させられます。
私は小学生のときに読んで、いま久しぶりに読み返しましたが、こんなことも載っていたのか! と何度も驚きました。
算数を始めたばかりの子どもさんも、数学が苦手なまま育ったあなたも、数学が得意な方も、きっと楽しく読める本です。書店や図書館で探してみては?