突然ですが、シチュエーションクイズです。人に何かを頼んだとき、「1時間弱かかります」と返事が返ってきたら、およそ何分待てば良いでしょうか?
最近誤解されがちな「~弱」という表現についての問題です。「~弱」は「~に少し足りない」という意味なのか、「~より少しだけ多い」という意味なのか……。
正解発表は後回しにして、まずは「~弱」ということばの意味について確認してみましょう。
正しい意味は「50分」
『大辞林』(第三版)で「弱」を引いてみると、「よわいこと」の次に「数量を表す名詞に付いて、端数を切り上げた数字であることを表す」という説明があります。要するに「1時間弱」は切り上げると1時間、すなわち
1時間より少し足りない時間であるというわけです。
つまり、正解は「A:50分」! ……としたいところですが、そう簡単にはいきません。
もしあなたが正しい意味を知っていても、相手が意味を勘違いしていて「1時間弱」を「B:70分」の意味で使っていた場合、このやりとりは成り立たないのです。
若い世代ほど誤解している
NHK放送文化研究所が行ったアンケートによると、「1時間弱」の意味を誤解していた人の割合は、全体では12%でしたが、20代では25%、10代では34%にまで及んでいます。
これほどにまで誤解が広まっていると、いくら間違いとはいえ無視することはできません。大事な用事なら、「1時間弱」みたいなあいまいな表現で済ますのではなく、「○分」のように正確な表現を使うべきかもしれませんね。
参考文献
- 大辞林第三版「弱」
- 「1時間弱」は、1時間よりも長い?短い? - NHK放送文化研究所