こんにちは! 乾です。
今回は「東大生の本棚」。
正直、僕は高校時代まではあまり読書習慣というものをほとんど持っていませんでした。しかし、大学に入ってからは教養溢れる同級生に感化されてか、少しずつ色々な本を手にとるようになりました。
そんな僕が今までに読んだ本の中から本日は3冊ほどご紹介いたします。
『ぼくは勉強ができない』山田詠美
17歳の主人公・秀美は「勉強ができない」。しかし、彼は女性にはモテて、「学校」という枠にはとらわれない独自の価値観を持っている。
母子家庭であることに関してクラスメイトからいびられた時、“父親がいないという事実に、白黒は付けられないし、そぐわない。何故なら、それは、ただの絶対でしかないからだ。”と言い返したり、学年トップの成績の脇山に馬鹿にされた時は“でも、おまえ、女にもてないだろ。”ときっぱり言い放つ様は非常に痛快で、主人公・秀美の性格をよく表しています。
これは私が秀美とちょうど同い年の時に読んだ小説ですが、当時の僕は、自分と同い年ながらも世界を悟っているようで、どこか厭世観が漂う雰囲気の秀美に魅了されてしまいました。特に秀美と同年代の中高生におすすめの作品です。
『晴天の迷いクジラ』窪美澄
三者三様の苛烈な人生を送り、それぞれ人生を終わらせる決意をした3人の主人公たちが、死の前に、南の島に迷い込んだクジラを見に行く。
鮮やかなタイトルとは裏腹に、主人公は、うつになったデザイナーの青年、子供を捨て家を出た女社長、そして過保護な母親に嫌気がさし、同時に親友の死に苦しむ女子高生の3人。彼らの人生にはそれぞれ同情できる部分や、自分の人生にも少なからず当てはまる葛藤が描かれています。そしてそれは、なかなか人に打ち明けることのできない、とても個人的な絶望であり、非常にリアルに表現されています。それによって、読み進めるほどに3人の性格にとても惹き込まれていきます。
正直、特に前半は「重い話」なので読んでいて辛いのですが、ラストに向けて3人が絶望の中に希望を見出していく様には勇気づけられました。人生に疲れた、そんな時におすすめの作品です。
『東大教授が教える独学勉強法』柳川範之
前に紹介した2作品とは一転、こちらは実用書。
著者の柳川範之は東京大学経済学部の教授なのですが、まずその経歴が面白いんです。
日本の中学校を卒業後、父の転勤でブラジルへ。ブラジルでは高校に通わず独学で勉強を進めます。そして、大学入学資格検定(現在の高卒認定試験)を受験し、慶應義塾大学経済学部の通信課程をシンガポールで修了します。その後、東大の大学院に通い、現在に至っています。
そんな高校・大学と独学生活を送った著者の実体験に基づいた勉強法・アドバイスが凝縮された一冊です。
自分の個性やタイプに応じて学習方法を柔軟に変えて、主体的に自分の頭で考えていくことこそが独学の醍醐味であるというコンセプトで書かれており、読んでいると、学ぶということや自分の頭で考えるということが本来は楽しいものだという著者の主張がひしひしと伝わってきます。
- ただ長時間勉強するのではなく、自分にとって効率的な勉強とは何かを考えるべし。
- なまけ者こそ、柔軟に学習方針を変更することができる独学が長続きする。言い換えれば、一度決めた目標に固執しすぎることは好ましくない。
- みんながいくら絶賛していても、自分に合わない本はすぐに手放すべき。
といった、言われてみれば当たり前のようで、それでもなかなか実践するのが難しいような、そんな「勉強のしかた」がたくさん詰まっています。僕は高校時代に読んで感銘を受け、本書で得た知恵を活かして受験に臨みました。
「勉強なんて」と思っている中高生から、「まだまだ学びを続けるぞ」という大人の方まで、幅広くおすすめの一冊です。
以上、3冊ご紹介してきました。
皆さんもSNSなどでおすすめの本、教えてくださいね。