突然ですがクイズです。「再従兄弟」は、何と読むでしょう?
答えは「はとこ」。自分から見て、祖父母の兄弟姉妹の孫のことを言います。テレビアニメ「サザエさん」でいうなら、タラちゃんから見たイクラちゃんですね。
それにしても、「はとこ」というたった3文字の言葉を表すために、「再従兄弟」と漢字を4つも使うのは、あまりにコスパが悪いというか、不思議というか。それぞれの漢字に平仮名を1文字ずつ当てていくと、漢字が1つ余ってしまいます。
そもそもの話をすれば、「再従兄弟」を「さいじゅうきょうだい」などではなく、「はとこ」と読ませること自体に違和感を覚えませんか?
類似例を挙げると、「大人(おとな)」も変わった読み方をさせる熟語。子どものころ、「『大』が『お』で、『人』が『とな』? でもそんな読み方は習わなかったぞ……」と疑問を抱いた人も多いはずです。
どうして、こんなことが起こるのか。それを解決してくれるのが、「熟字訓」という概念です。熟字訓とは、熟語全体に訓読みを当てたもの。「大人」の場合、それぞれの漢字を「お/とな」「おと/な」と読むのではなく、漢字2つセットで「おとな」とするのが正しいのです。
ちなみに、「寄席(よせ)」「雑魚(ざこ)」「河岸(かし)」「山車(だし)」なども熟字訓。もっと身近なところだと「今日(きょう)」「明日(あす)」も該当します。
熟字訓の場合、漢字1つ1つを読むわけではないので、「再従兄弟」のように、読みよりも漢字の方が文字数が多いケースもあります。……ところで、他に同じような例、思いつきますか?
代表的なものは「香具師(やし)」でしょうか。縁日などで露店を出している人を指します。また、漢字と読み方がまったく合致しない「老海鼠(ほや)」「大口魚(たら)」「山毛欅(ぶな)」といった難読熟語も当てはまります。