イデです。
2020年といえば何が行われる年でしょうか?
そう、アメリカ大統領選の年です。しかし、「大統領選は期間が長いし、選挙がたくさんあるし、よくわからない!」といった方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回の記事ではアメリカ大統領選のおおまかな流れについて解説していきます。来る11月3日は投票日。これを読めば、ニュースもスムーズに理解できるようになるはず!
大統領が選ばれるまで
アメリカは二大政党制です。よって大統領選は、基本的に共和党と民主党の二党が選挙戦を繰り広げます。今年(2020年)の大統領選では、共和党からはドナルド・トランプ現大統領が、民主党からはジョー・バイデン前副大統領が候補者として選出されています。
大統領選は、最初に共和党と民主党の両党が、大統領と副大統領の候補を決め、その後にどちらかの党の候補に投票するというシステムになっています。
時系列順に、詳しく見ていきましょう。
党員集会や予備選挙(2月~6月)
この期間は、共和党と民主党がそれぞれの候補を決めるための第一段階です。ここでは、候補を選ぶ代議員を州ごとに決めていきます。代議員とは、〇〇候補に投票すると表明し、後述する全国党大会に出席する人々のこと。有権者は、自分の支持する候補への投票を表明している代議員に投票することで、自らの意思を示します。
代議員選出には、大きく分けて党員集会と予備選挙の2つの方法があり、どちらが開催されるかは州によって異なります。党員集会では、政党主導で党員が議論を繰り返しながら候補者を絞り込んでいきます。かつては多くの州で開催されていましたが、参加しにくいなどの理由から実施する州は減少しています。予備選挙は、一般的な選挙と同様に有権者が直接投票を行う方式で、多くの州で採用されています。
全国党大会(7~8月)
党員集会や予備選挙で選ばれた代議員が、それぞれの党の大統領および副大統領の候補を決定するための集まりが全国党大会です。ここで、両党の大統領候補と副大統領候補が正式に指名されます。
本選挙(11月の第1月曜日の翌日の火曜日)
アメリカ国民はこの本選挙で、実際に候補者に投票する「大統領選挙人」を選びます(この選挙人が投票を行うのは1カ月後)。全国党大会で指名された両党の候補者は、州ごとに割り振られた選挙人を獲得していきます。
選挙人は基本的に、州の人口ごとに割り振られます。ほとんどの州では、州全体の得票数が最も多い候補者がすべての選挙人を獲得する「勝者総取り方式」を採用しています。
つまり、人口の少ない州の1勝よりも人口の多い州での1勝の方が価値があるということです。よって、本選挙では、人口の多い州での勝敗が選挙に大きく関わってくるのです。
この本選挙で選ばれた選挙人が投票をすることで、正式にアメリカ大統領が決まります。
得票数が多い人が大統領になるとは限らない!?
このしくみを考慮すると、必ずしも獲得した票数が多い候補者が大統領になれるわけではありません。例をみてみましょう。
有権者が90万人で選挙人が90人のA州と、有権者が100万人で選挙人が100人のB州があったとします。A州とB州はどちらも勝者総取り方式を採用しています。民主党の候補者CはA州で80万票を獲得し勝利。しかし、B州では49万票しか獲得できず、共和党の候補者Dに敗れてしまいました。獲得票数で比べるとCが129万票に対し、Dは71万票しか得ていませんが、獲得した選挙人の数はCが90人に対し、Dは100人となり、Dの方が多くなっています。
このように全体の獲得票数では、他の候補者に劣っているものの大統領に当選したというケースは過去に5回あります。
実は、現在(2020年)のアメリカ大統領であるトランプ氏もそのひとり。2016年の大統領選で、トランプ氏の獲得票数は約6297万票だったのに対し、ライバル候補だったヒラリー・クリントン氏は約6584万票を獲得しています。トランプ氏は得票数ではクリントン氏に約286万票もの差をつけられていますが、選挙人をクリントン氏より70人ほど多く獲得して勝利し、大統領になりました。
おわりに
大統領選は半年をかけて行う大がかりなものでとても複雑ですが、時期ごとに分けて考えてみると大まかな流れが理解しやすいと思います。
今後、大統領選のニュースを見る際のお役に立てば何よりです!