こんにちはオグラです。
皆さん、ホットドッグはお好きですか?
ホットドッグといえば細長いパンにソーセージを挟んだ食べ物で、コンビニや屋台など様々なところで食べられる身近なファストフードです。
でも、なぜドッグ(犬)なのでしょうか。パンに挟まっているのはソーセージであって犬ではないはずです。
なぜホットドッグという名前がついたのでしょうか。
ソーセージの中身は犬の肉と噂されていた!
豚肉などのひき肉を腸詰めにしたソーセージという食べ物が生み出されて以来、その「中身」には疑いがつきものでした。ネズミや人間という噂もありましたが、もっともポピュラーだったのが犬の肉が使われているという噂でした。
アメリカにソーセージの食文化をもたらしたのはドイツ系の移民でした。当時のアメリカではマスメディアを通じてエスニックジョーク(国民性や民族の特徴を笑いのネタにする冗談)が流行していて、ドイツ系移民もそのネタにされました。
そのためドイツ系移民が作っているソーセージには犬が入っているかもしれないという噂、ないしジョークは広く知られていました。
こうしたことを背景に、自然発生的に大学などで昼食を売っていた屋台が「ドッグスタンド」と呼ばれ、そこで売っているパンに挟まれたソーセージが「ホットドッグ」と呼ばれるようになりました。
命名にまつわる有名な伝説
1901年4月、ニューヨークの野球場に応援に来ていた観客は、やや季節外れの寒さに震えていた。そんなところに売り子の少年がやってきて、「レッドホット・ダックスフントソーセージだよ!」と細長いパンで挟んだ熱々のソーセージを売って回った。当然、観客達は夢中になってこの食べ物に食らいつき暖をとった。
この様子を見ていた『ニューヨークジャーナル』紙の新聞漫画家T・A・ドーガンは、ダックスフントが犬であることから、この新しい食べ物を縮めて「ホットドッグ」と名付けて漫画にした。これがホットドッグの名前の由来である。
……というのが「ホットドッグ」命名に関する有名な伝説です。
ちなみに、ダックスフントソーセージと呼ばれていたのは、ドイツ原産のダックスフントとドイツ系移民が作っているソーセージのイメージが結び付けられていたからです。
この伝説には細部が異なる色々なバージョンがありますが、実は大部分が事実ではないことが分かっています。そもそもドーガンが描いたとされる1901年の漫画は見つかっておらず、彼の漫画にホットドッグが登場するのは1906年の自転車レースを描いた漫画です。
このため1906年のバージョンの説もありますが、いずれにせよ「ホットドッグ」という言葉は1890年代前半から使われていたという記録があるためこの説は誤りです。
おわりに
ホットドッグが一気に広まった19世紀末から20世紀初めは、産業化が進んだ「大衆」の時代でもありました。
ホットドッグの流行は、食肉を加工する機械による安価な大量生産と「能率」を重視した多くの労働者抜きには語れないでしょう。
T・A・ドーガンの漫画の話は伝説ですが、ホットドッグがスポーツ観戦を通じて広まったことは事実ですし、この大衆受けのする伝説を広く流布したのはマスメディアでした。
身近な食べ物もそれが生まれた歴史や文化的な背景を背負っています。ホットドッグを食べるときには、この話を思い出してください。
参考文献
- クレイグ,ブルース(2017)『ホットドッグの歴史』田口未和訳、原書房