どうも、ライターのかっきーです。
みなさんは次のような気象予報士の言葉を聞いたことはないでしょうか?
この「台風」「熱帯低気圧」「温帯低気圧」とは何か、それぞれ何が違うのか、説明できますか?
今回は、気象予報士の資格を保有するかっきーが、わかりやすく解説します。最後までお付き合いいただければ、明日の天気予報をしっかり理解して見られるようになるはずです!
そもそも……
そもそも、「台風」「熱帯低気圧」「温帯低気圧」はすべて「低気圧」の仲間です。
そしてこれらは「台風・熱帯低気圧」と「温帯低気圧」の2グループに分けられます。
詳しくは後述するので、ひとまずは「台風・熱帯低気圧」と「温帯低気圧」という分け方をするんだ、ということだけ覚えておいてください。
台風・熱帯低気圧
「台風」「熱帯低気圧」は熱帯で発生する低気圧で、2つの構造はまったく同じです。
違う点は「最大風速」のみです。日本では中心付近の最大風速が秒速17.2mを超えれば「台風」、超えなければただの「熱帯低気圧」となります。
したがって「台風」という名前は、風が強い「熱帯低気圧」に与えられる異名のようなものです。

台風や熱帯低気圧は、海から蒸発してきた水蒸気をエネルギー源として発達します。水蒸気が水滴に変わる際に放出される「
また、地球の自転による「コリオリの力」が働き、北半球では反時計回りの風が吹き始めます。その影響で雲が渦を巻くように発達していきます。
さらに、中心には「台風の目」と呼ばれる静かな部分が現れ、円形に雲が広がるのが特徴です。

温帯低気圧
温帯低気圧は南北の温度差がある中緯度で発生する低気圧で、台風や熱帯低気圧とは構造が異なります。
ただ「種類が違う」だけで、必ずしも台風や熱帯低気圧より風が弱いわけでも、勢力が弱いわけでもありません。

温帯低気圧は暖気と寒気の間にでき、南北の温度差をエネルギー源として発達する低気圧です。
中緯度地域で起こった南北の温度差を打ち消そうとして、冷たい空気と暖かい空気が移動を始めます。この動きが反時計回りに渦を巻きながら進むことで、温帯低気圧が形成されるのです。
さらに、温度が異なる空気がぶつかる場所には「前線」と呼ばれる境界線ができます。そのため、温帯低気圧は前線を伴っており、台風や熱帯低気圧とは異なる非対称な雲の広がりをしています。

いったん振り返り
台風と熱帯低気圧、温帯低気圧の違いについて、振り返りをしておきましょう。以下の図に整理しました。

「台風が熱帯低気圧や温帯低気圧に変わる」とは
冒頭に戻りますが、気象予報士の「台風は明日朝までに熱帯低気圧(温帯低気圧)に変わる見込みです。」のようなセリフは何を意味しているのでしょうか?
ここからは、その内容を詳しく解説します。
台風が熱帯低気圧に変わるとき
「台風が熱帯低気圧に変わる」というのは、「勢力が弱まること」を意味します。
台風と熱帯低気圧の違いは中心付近の「最大風速」のみでしたよね。
つまり、台風の勢力が弱まって、中心付近の最大風速が秒速17.2mを下回るようになると、熱帯低気圧に変わります。
夏の台風がこの一途をたどる傾向があります。

台風が温帯低気圧に変わるとき
「台風が温帯低気圧に変わる」というのは、「構造が変化すること」を意味します。
そもそも台風と温帯低気圧は、異なる種類の低気圧でしたよね。
台風が北上していくと、次第に周囲から冷たい空気が流れ込むようになります。この影響で、台風の南北で温度差が生じ、温帯低気圧の特徴である前線が形成されます。
このようにして、台風は温帯低気圧へと変わっていきます。秋の台風がこの一途をたどる傾向があります。


ただ、台風が温帯低気圧へと変化したからといって、必ずしも勢力が弱まるわけではありません。
温帯低気圧のときは、台風よりも中心付近の風や雨は弱くなります。しかし中心から遠い場所では、逆に台風のときよりも強い風や大雨が発生することがあります。
台風でなくなったからといって安心することはできません。大雨や突風といった被害はまだ続く可能性があるため、十分な警戒が必要です。
まとめ
台風、熱帯低気圧、温帯低気圧にはそれぞれどんな特徴があるか、また「〇〇低気圧に変化する」とはどういうことなのか、理解していただけましたか?
気象の知識は、普段の天気予報を見る上で非常に役立ちます。そして防災を考えるには欠かせないものなので、これを機に興味を持っていただけると嬉しいです!
それでは!
【画像出典】
赤外画像は、気象庁HP「観測画像紹介」から以下の画像を加工して作成
「令和4年台風14号」 2022年9月16日12時~20日8時(JST)
「南岸低気圧」 2019年4月16日~18日
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