世代や国籍を問わず、幅広い層から人気を集めている和食があります。その名も寿司。
▲はい、おいしい
一般的には「寿司」という表記が馴染み深いですが、他にも「鮓」「寿し」など、さまざまな表記があります。特にちょっと高そうなお店では、「鮨」という表記を使っているのをよく見かけます。
▲行けて年に1回
ここで、「鮨」という漢字そのものにフォーカスしてみましょう。この漢字は、「魚」と「旨」でできています。漢字の成り立ちなどを全て除外して考えれば、こう考えることができるのではないでしょうか。
▲Lv.1の合体漢字
ここまで計算式を作ったところで、「鮨」に対してこんなことを思いました。
鮨以外にも、魚を使ったおいしい料理は国内外問わずたくさんあります。もしかすると、鮨よりおいしいものが、この世界のどこかにあるかもしれません。
▲見る人によっては、これだって成り立つはず
それなのに、「魚を使ったうまいものの代表」という役回りを、鮨という一和食が背負ってしまっているのです。これでは、鮨がかわいそうです。もしも私が鮨だとしたら、あまりのプレッシャーに押し潰されて押し寿司になってしまいそうです。
▲身体がカチコチに固まってしまいました
なんとかして、鮨のプレッシャーを軽くしてあげたい……! そこで私は考えました。仲間を作ってあげればいいと。
魚へん以外の部首にも「旨」をくっつけて文字を作り、食べ物の名前をひとつだけ与えることで、同じようにプレッシャーを背負わせます。
こうすれば、同じプレッシャーを抱えている文字どうしで相談しやすいし、「辛いときは支え合おう!」みたいな助け合いができるので、「鮨」も気が楽になるはずです!
早速、文字を作ろう!
そうと決まればまず、「旨」をくっつける部首を探しましょう。今回は、『漢検漢字辞典(第二版)』の「部首配列順ページ」に記載されている部首一覧の中から選ぶことにします。
なんとか食べられるかもしれない部首を探した結果、28個見つかりました。それら全てに「旨」をくっつけてみます。
一覧にすると湯呑みに貼りたくなる感じになりました。ここから食べ物を当てはめていきますが、作った文字に与える「食べ物の名前」は独断と偏見、そして私の味覚によって決めますのであしからず。異論は認めます。
手始めにまずは「肉」の代表格を
最初に決めておきたいのはこの3つ。左から牛・豚・鳥に関係する部首で、日本人がよく食べる3種類の肉です。
▲「うしへん」の既視感は、たぶん「指」
どの肉も、あまりに大量の料理が存在するので非常に悩ましかったのですが、独断と偏見ということで、このようにさせてもらいました。
▲私の好きな食べ物を紹介するだけのコーナー
「おい、〇〇じゃないのか!」という読者の声が聞こえてきます。どれも一応ちゃんと理由はあります。
そのジャンルの「旨」を背負う料理を与えるわけですから、「衣や米などに頼らず、素材のうまみができるだけ保たれているもの」を選ぶのが筋だと思うんですよね。その観点で選んでいるので、牛丼やとんかつ、チキンライスも大好きなのですが、泣く泣く落選とさせていただきました。
当たり前の存在にも「旨」を与えよう
主菜の肉を決めたので、続いては主食を決めます。米と麦です。
▲どっちの文字もすでに存在してそう
この2つについては、シンプルにご飯とパンでいいのではないでしょうか。うどんやビーフンなどの麺類も考えましたが、なにぶん私はご飯・パン大好き人間なので、これらを選ばないわけにはいきませんでした。
ご飯もパンもあまりに食べ慣れすぎていて、味わって食べることの大切さを忘れかけていました。どちらも「旨」を背負うべき存在であることを再認識させてくれたこの企画に感謝。
バランスを考えて野菜も決める
主菜・主食だけでは献立のバランスが悪くなってしまうので、野菜もちゃんと食べましょう。
あまり野菜が好きではないので「うまい野菜」といわれてもピンときませんが、とりあえずこう置いておきます。
「くさかんむり」の方は、そのままだと全然おいしくない(個人の感想です)ですが、料理や加工次第でなんとかなるトマトをチョイスしました。
また「木へん」については樹木をそのまま食べるわけにはいかないので、少々ズルい気もしますがきのこから選びました。正直きのこもあまり好きではないのですが、孤独な「鮨」を救うためにも、心を鎮めて客観的な視点を取り入れることにします。今回は、うま味成分である「グアニル酸」が多量に含まれているという点で干ししいたけを選びました。
主菜、主食、野菜について一通り選んだところで、ここからは「ノリで作ってしまったもの」をご紹介していきます。
食べ物が続いたので飲み物を決める
まずは「鬯」。「においざけ」という名を持つこの部首は、漢検の範囲内だと「鬱」と「鬯」にしか使われていません。
「鬯」には「黒きびに
意外すぎる部首
「瓜」って部首にもなっているんですね。他の漢字とくっついているイメージがありませんでしたが、漢検の範囲内では「
「おいしいウリ」ということで、アンデスメロンといったところでしょうか。
車輪の再発明
「にくづき」に「旨」をつけた結果、常用漢字が生まれてしまいました。「脂」は「にくづき」界の「旨」だったんですね。「おいしい肉」からの「脂」は少々ズレているような感じがするので、この字には「ステーキ」を与えておきます。
キング・オブ・フードが決まる
最後にとんでもないものを作り出してしまいました。
「食」+「旨い」なので、要するに「おいしい食べ物」ということになります。これまで決めた食べ物を含め、この世に存在するすべての食べ物から「私が一番 おいしいと思うもの」を決めなければなりません。
幸いなことに、私の中で既に答えは出ています。それは……
寿司
▲至高
ちなみに、定義によりこちらも寿司です。
▲強いて言えば回転寿司
28個の文字に食べ物を当てはめた結果……
ひとつひとつの文字と
「ラインナップ見てるだけで胃もたれする」「豆だけやけに細かくない?」「この表をトイレに貼ってる家には近づきたくない」というツッコミが聞こえてきますが、独断と偏見ルールなので許してください。
これで「鮨」を救えた……はず
これで、「鮨」に友だちとライバルがたくさんできました。「鮨」へのプレッシャーも、これで軽くなることでしょう。
▲やさしい世界が広がっています
同じ運命を背負うものどうし、お互いに助け合いながら強く生きていってほしいものです。
あなたなら、この28個の文字にどんな食べ物を背負わせますか?文字ごとに食べ物を書き込める表を用意したので、ぜひダウンロードしてオリジナルの表を作り、Twitterでシェアしてください。「鮨」もきっと喜びます。
それでは。
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