\ 連載「クイズを味わう」 /
「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。
毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!
今回紹介するのは山本祥彰さんの問題集『Q366』の中の1問です。
問題文を頭から少しずつ、区切りながらお見せします。ぜひ早押しクイズに挑戦しているつもりで、それぞれの段階で「どんなものが答えになりそうか」を想像しながら読んでみてください。

「鳴門の渦潮」と聞いてまず思い浮かぶ言葉は、「鳴門海峡」や「大鳴門橋」あたりでしょうか。

ただ、問題文で出てきた事柄との結びつきが強すぎる言葉は、答えになりにくそうです(たとえば「鳴門の渦潮」が見られる海峡はどこでしょう? A.鳴門海峡 では直接的すぎて、かなりイマイチなクイズですね)。
また、「鳴門の渦潮」が見られる具体的な地名を問うパターンもありそうですが(例:「鳴門の渦潮」で有名な鳴門海峡がある、〇〇県の市はどこでしょう?)、「海峡」がずばりどこにあるかを当てるのは難しい気がします。実際、鳴門海峡は徳島県鳴門市と兵庫県南あわじ市の間にあり、答えが1つに定まらないようです。
この時点で答えを導くのは難しいものの、「鳴門の渦潮」という馴染みのあるワードから始まっていることから、「まったく知らない世界の話ではなさそうだ」という手応えは感じられるのではないでしょうか。

嚴島神社は広島県にある世界遺産の神社ですね。それまで四国の東側あたりに寄っていたカメラが引いて、写る範囲が一気に広がったような感覚になります。
2つに共通するものは何でしょうか。渦を巻く潮の流れと、海に建つ大鳥居。どちらも思い浮かべる光景には海がありますが……。しっくり当てはまる答えにたどり着くのはまだ少々難しいでしょうか。

3つ目に並ぶのは「関門海峡」。本州(山口県下関市)と九州(福岡県北九州市)を隔てる海峡です。カメラはさらに引いて、瀬戸内海のほぼ全域がレンズに収まりました。だいぶ答えに近づいてきていそうです。

ここまで聞くと、答えが「3つの見どころをすべて含む、区切られた領域」であることがわかります。答えの輪郭がかなりはっきりしてきました。
そして、全文がこちら。

答えは「瀬戸内海国立公園」でした。日本で最初に指定された国立公園のひとつで、1府10県にまたがり、海域を含めた範囲は国内最大です。問題文に並んだ3つは、その広大な区域のなかでもよく知られた見どころにあたります。
早押しクイズは、文章を頭から順に聞いていくものです。1文字聞こえるごとに、答えへ向かう道が少しずつ開けていきます。
先に続く文章を推測しながら答えになりうるものを探し、ボタンを押すかどうか判断する。この一連の流れにおいて、解答者をミスリードしないためには、問題文中にどんな要素をどんな順番で並べるかがとても大切になってきます。
この問題は、多くの人が知る「鳴門の渦潮」から始まりながら、それだけではなかなか答えにたどり着けません。情報が足されるたびにカメラが引き、写る範囲が広がって、答えのピントが合っていく。作問者の選択の結果であるその誘導が、非常に巧みな一問だと思います。
作った人に聞いてみる
せっかくなので、作問者の山本さんにも話を聞いてみることにします。一体どんなふうにこの問題を思いつき、仕上げたのでしょうか?
さらに調べてみると、知名度の高い名所がいくつも1つの国立公園の中にある。そんな驚きと発見の喜びを表現したくて思いついた問題ですね。

(文・大塚澄佳)
今回の問題が収録されている本
『Q366』(BOOTHで販売中)
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※画像出典:Wikimedia Commons Pekachu CC BY-SA 3.0/瀬戸内海国立公園 見どころ・施設(環境省)を元に作成









