こんにちは、ふくらです。
僕の人生を最も変えたテレビ番組は「高校生クイズ」でしょう。
僕は「第31回全国高等学校クイズ選手権」に出場しました。通っていた高校にはクイズ研究会がなく、当時の僕はただの「クイズ番組を観るのが好き」な高校生でした。
そんな「ふくらP」ではなくまだただの「福良拳」だった頃の僕が、高校生クイズに出場したときの思い出話をさせてください。
全国大会の切符を賭けた戦いでまさかの展開
まず、僕がその大きな早押しボタンに手をかぶせる。僕の手の上にチームメイトの外山くんと谷くんが手を重ねる。黄色いビブスを着た僕たち3人は、真夏の日差しを浴びながら次の問題が聞こえてくるのを待っていた。
高校3年生。人生で最後の高校生クイズとなる第31回高校生クイズ。僕たちは香川県大会の決勝まで来ていた。我が高校から決勝に残っているのは僕たちだけである。
ルールはシンプル。5問正解したら優勝。そして僕たちは既に4問の正解を積んでいる。次の問題を正解できたら香川県代表となり、全国大会の出場が決まる。それは飛行機で東京に行き、日テレのスタジオでテレビの収録をすることを意味し、自分と同じ「クイズ好き」を語る人間に面会する人生で最初の機会を獲得することを意味する。
勝ちたい。きっと勝てる。勝つ。
その時、藤田大介アナウンサーの口が開いた。
「問題。バチカン市国のシスティナ礼拝堂にある壁画『最後の審判』の作者は誰?」
あぁ、少し前に世界史で習ったなぁ。でもこれは覚えてないやつだ。残念。次こそは知ってる問題が来てほしい……。
そう思った瞬間――。
僕の右手が上から押し込まれる。
手元にあるクエスチョンマークがデザインされたパネルが起き上がる。
すぐに、僕らのチームが解答権を獲得したのだとわかった。
そうか、外山くんも世界史選択。さぁ、大声でその答えを叫ぶんだ。そう思って彼の方を見ると、全力で手を横に振り、「俺はわからない」と猛アピール。
「わかってないのに押したの!?!??!?」
ピンチの状況から導き出した答え
「福良いって」とだけ返す外山くん。もちろん世界史の授業を一緒に受けているから、「福良なら覚えてるはず」と思って押したのだろう。
僕は残された5秒間で頭をフル回転させる。
『最後の審判』ってなんだっけ。たしかレオナルド・ダ・ヴィンチあたりじゃなかったっけ。となると選択肢は3つ。ダ・ヴィンチとミケランジェロとラファエロ。この3人を同時に習ったんだ。その中の誰かを答えよう。
ダ・ヴィンチの作品で知ってるのは『モナ・リザ』と『最後の晩餐』のみ。でも『最後の審判』と『最後の晩餐』ってめちゃめちゃ似てるよな……。こんな似た名前の絵を2枚描いてたら習ったときにその記憶があると思うからダ・ヴィンチではなさそう。
となるとミケランジェロかラファエロか……。どっちだ。思い出せ。ミケランジェロの作品は1つも覚えてない。ラファエロは「母子がどうのこうの」みたいな作品があったことだけ思い出せた。こんなふわっとしたことをなぜ思い出せるのか。それは僕が読んだ参考書のラファエロの代表作の筆頭に『最後の審判』が掲げられてなかったからではないか? 掲げられていたら思い出せているのではないか? ということはラファエロは『最後の審判』を描いてないのではないか?
答えは決まった。全く自信はない。ボソッと呟くように答えた。
「ミケランジェロ」
その直後、正解音が鳴った。僕は正しい選択肢を選んでいたのだ。
勝った……!
思わず僕は片手で小さくガッツポーズをした。外山くんは両手を上に挙げてガッツポーズをしていた。
「クイズを観る人」から「クイズをやる人」へ
そんなわけで僕は東京に行き、たくさんのクイズ好きと会うことができたのでした。そこには僕のような「クイズ番組を観るのが好き」という人だけでなく、クイズ研究会に入っている人、つまり「クイズをやってる人」もたくさんいました。伊沢拓司もそのひとり。そうしてクイズをやる楽しさに触れていったのです。
その後大学生になると僕はクイズサークルに所属しました。僕は高校生クイズを通して「クイズを観る人」から「クイズをやる人」へとなっていったのでした。そのままQuizKnockに所属して今に至ります。
というわけで僕の人生を変えた高校生クイズのお話でした。高校生クイズは今年も開催されます。そこには観る者も参加する者も熱狂させる何かがきっとあるはずです。今から楽しみですね。
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