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私たちは何かを書くとき、往々にして省略を用います。長々と書くのは面倒ですから。たとえば、「1位/1番」すなわち「ナンバーワン」という意味で“No.1”のように書きますよね。

しかしこの“No.”、よく考えてみると不思議です。「ナンバー」と読むはずなのに、英語の“number”には“o”が入っていません。省略するなら“Nu.”なのでは?

oはいったいどこから来たんだ……?

そもそもラテン語由来だった!

実は“No.”は、英語の“number”の省略ではないのです。では省略する前は何だったのかといえば、“numero”。ラテン語で「数において」という意味の単語です。

なるほど、“numero”ならたしかに“o”が入っています。これで一件落着……?

なんでそこを取るんだ

いやいや、“numero”を省略するなら“Nu.”で良いはずです。どうしてわざわざ最後の文字を取ってしまったのでしょう?

これには、ラテン語の「格変化」に由来しています。

ラテン語で「数」は“numerus”なのですが、「数において」という意味では“numero”に変化するのです。このような現象を「格変化」と呼びます。

耳なじみのない言葉かもしれませんが、英語で「私」が“I”で、「私の」が“my”になるのと同じです。

ラテン語においては、このような変化が多々起こります。このとき、変化する部分は単語の後ろの部分です。

ですから、省略するときには単語の後ろの部分は残しておかないと、どういう意味なのかが分かりにくい、というわけです。

おわりに

“No.”のほかにも、ラテン語に由来する言葉はたくさんあります。調べてみると、新たな発見があることでしょう。

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この記事を書いた人

カワカミタクロウ

東大文学部卒、東大クイズ研究会OB。

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