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ある日のオフィスにて。

──問題。オオマツヨイグサの研究をもとに「突然変異……

ピコーン!

ド・フリース!

ピンポーン!

──正解です! 突然変異説を唱えた植物学者、ということでド・フリースが答えでした。今日も調子いいですね。では、次。

──問題。54年……

ピコーン!

金栗四三かなくりしそう

ピンポンピンポーン!

──正解! 今のタイミングでよくわかりましたね。

「54年」といえば、金栗四三が持っている「最も遅いタイム」とされるマラソンの記録だからね
大会では途中でリタイアしちゃったんだけど、実は棄権扱いになっていなくて、数十年も経った後でゴールテープを切った、っていう話だよね
54年8カ月をかけてストックホルムオリンピックのマラソンでゴールをした、という逸話も有名な箱根駅伝で最優秀選手に送られる杯にもその名を残す陸上選手は誰? 答え:金栗四三

 

「すごい話だよ」

──さすが。この知識は結構前から知ってました?

早押しクイズでも出題される人物だからね。僕は大学でクイズを始めたんだけど、2年生の頃には覚えたと思うよ

──なるほど。じゃあ、そんな金栗四三は3つの単語からなるモットーを持っていたんですが、「何・何・何」か答えられますか?

え? それは知らないなぁ

──正解は、「体力・気力・努力」でした。

それは初めて聞いたな。めちゃつよモットーじゃん!
なんか、クイズをしているといろんなことを知れるんだけど、聞いただけの知識も多いんだよね。テレビで芸能人の方とクイズで対決すると、実体験の差で負けちゃうこともあったりしてさ

──なるほど。それでは、金栗四三のことを、実際に目で見たり足を運んだりして、もっと知ってみませんか?

え!?

──たった今出題した金栗四三の地元で「体力・気力・努力」を体験して、彼の人生を実体験に基づく知識、言うなれば「生きた知識」にしてほしいんです。

え!?

本当に!? そんなことある?

というわけで、今回は「日本マラソンの父」金栗四三の生まれ育った熊本県・和水町なごみまちを、鶴崎修功が訪れます。果たして、どんな発見があるでしょうか。

到着! 熊本県・和水町

〜さらに車で移動すること数十分〜

ふう、着きました〜
あさぬま:今回の旅の案内役。熊本は小学生以来2回目(くまモンが生まれてからは初めて)。
着いたね! というかさ……
飛行機、めちゃめちゃ大変じゃなかった!?

そう、取材当日は東京であいにくの大雪。飛行機がなかなか飛ばず、数時間遅れでなんとか現地に辿り着いたのでした。楽しみにしていた旅も、天候のいたずらによってまさかの出鼻をくじかれる形に。

なんとか飛んでよかったですね〜。「体力・気力・努力」のうち、もう「気力」あたりはクリアしたようなもんでしょう
そんな安直でいいのかよ

和水町は熊本県の北西部に位置する町。人口は1万人に満たない小さな町ですが、史跡名勝天然記念物の「江田船山古墳えたふなやまこふん」をはじめ、歴史と文化が色づく地域です。

春には綺麗な桜も
今日はイレギュラーだったけど、実際はアクセスがいい町ですよ。熊本空港・福岡空港のどちらからも、車でおよそ50分ほどで着く場所にあります
空港からは思ったよりもすぐって感じだったね
そもそも僕、熊本県に来るのは初めてなんだよね。福岡にはテレビ番組の収録で何度も来たことがあるんだけど。だから今日は来られてめっちゃ嬉しい
あと移動中にジョイフルいっぱい見えて「マジで九州だ!」って思った
ジョイフル:全国に約600店舗を展開する「私たちの街のレストラン」。発祥は大分県であり、九州地方に店舗が集中している。
それで、ここはどこ? ずいぶん山の方まで来たねぇ
じゃあ、これ見てください!

金栗四三だ!!! マラソンの父、いるじゃん!!
思わず顔を入れる鶴崎

ここが、金栗四三の生家ですね。金栗四三が主人公のひとりとして描かれたNHK大河ドラマ『いだてん』が放送されてからしばらくは、記念館としても公開されていたみたいで、今でも日中は内覧ができるんです

内部には当時のオリンピックユニフォームのレプリカまで
2025年に建立されたばかりの銅像も
「ここから日本の長距離走が始まった」といっても過言じゃないわけだもんね。クイズで聞いたような知識しかなかったけど、実際に出会えるとなんだか感慨深いや
あ! あれが、金栗がモットーにしていた「体力・気力・努力」だね。迫力あるなぁ

近くには日本長距離界のレジェンドの「足跡」
で、この生家から「金栗四三ロード」っていう道があるんですけど……
金栗四三ロード:和水町の「金栗四三の生家」から「玉名北高等学校(現・南関第三小学校)」へと続く道。当時の原風景が色濃く残る。

 

▲およそこんな道のり

この道は往復約12kmの道のりになるんだけど、金栗四三は学校まで毎日駆け足で登校していたらしいですよ
すごすぎる……
というわけで……
この「金栗四三ロード」、ちょっと走ってみましょうか
え゛ いきなり!?
金栗四三本人も「マラソンの基礎は小学校時代に(片道)一里半の通学を行ったことである」と語っていたそうですし、彼のモットーを体感するにはもってこいかな、と
……まあ、今回のテーマ的にそうなるだろうとは思ったけど!!

すっすっ はっはっ……

「ハァ……ハァ……」

寒空の下、徐々にスピードを上げて遠ざかっていく鶴崎。学校まで6kmを完走……したわけではありませんが、偉大な選手が何度も走った道のりを辿ったことで何か得るものはあったようです。

赤いパーカーの人影が、視界の中で徐々に小さくなっていきます。

「ハァ……!」

往復させる必要はないだろ!!

次ページ: 鶴崎、「歴史」のはじまりに触れる。

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