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解説

正解は「ニコラ・テスラ」でした。

ヒント1:電流をめぐってエジソンと対立していた

テスラはオーストリアのグラーツ工科大学に入学すると、ある授業でグラム発電機(発電機とモータの機能を併せ持つ直流の発電装置)の実演を見ました。その機器が作動する際に火花が散っていることに気付いたテスラは、

直流だからエネルギーの損失が大きい。交流でモータを作ればいいのでは?

と考え、発電機の改善に取り組みました。

その後、テスラは世界で初めて二相交流モータ(二つの交流の周期をうまくずらして組み合わせることで、滑らかな回転を生み出すモータ)を発明しました。交流の実用化を目指して渡米したテスラは、トーマス・エジソンの研究所で働くことになります。

しかしエジソンは、1879年に開発した直流型の白熱電球の販売のほか、自ら開発した直流電流を使用した都市部への電力供給の事業にも着手しており、交流が優位だとするテスラの考えに否定的でした。2人は次第に対立していき、テスラはわずか1年弱でエジソンの研究所を退所してしまいます。その後テスラは、投資家の支援を受けながら交流の電力事業を始めていきます。

ここから、電力システムとして直流・交流のどちらが優れているのか、「電流戦争」が勃発するのです。

ヒント2:100万ボルトの交流電流を自身の体に通し、安全性をアピール

交流のメリットは、変圧(電圧の大きさを変えること)が容易な点。これは、とくに長距離を送電する際に向いています。発電所からは電力損失が少ない高電圧の電気を送り、町の近くにある変電所で家庭で使えるレベルまで電圧を下げて電気を届けるという、直流では難しい仕組みが構築できるのです。

▲交流だから、できたこと

こういった交流のメリット優位性をテスラが世界的にアピールしていくと、交流を支持する人々はどんどん増えていきました。

しかし、それを見たエジソンは、

私が構築してきた電力設備が無駄になってしまう、なんとかして直流の優位性を保たねば!

と、「交流は危険だ」というネガティブキャンペーンを始めるのです。そのパフォーマンスは、交流の発電機を用いて動物たちを感電死させる、死刑用の電気椅子に交流の発電機を採用させる、といった過激なものでした。

対するテスラは交流の安全性をアピールするために、自身の体に100万ボルトの交流電流を通すパフォーマンスを行いました。

こういった泥沼の戦いの結果、1893年のシカゴ万博の発電事業や1896年のナイアガラの滝の水力発電所に交流システムが採用されると、これを契機に今現在まで交流による電力システムが使われていくことになったのです。

ヒント3:磁束密度のSI単位・アメリカの電気自動車メーカーに名を冠する

そんな功績を成し遂げていったテスラの名は、国際単位系(SI)の磁束密度の単位に冠されています。磁束密度とは、単位面積当たりの磁束の数のこと。マクスウェル方程式にも表れる、電磁気学における基礎的かつ重要な物理量です。

また、アメリカの電気自動車メーカー・テスラ社も、彼の名前に由来しています。2003年に同社が設立された際、テスラに敬意を表して名づけられました。

ちなみに、同社のCEOは、実業家のイーロン・マスク。最近ではTwitterを買収したり、新たなAIの開発を表明したりと、何かと世間の注目を集めています。


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この記事を書いた人

於島

於島(おじま)です。高専から東京大学工学部に編入学しました。クイズは初心者ですが、「高専生だったからこそ書けること」を届けられるよう頑張っていきます。

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