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答え&解説
正解は猫でした。
ヒント1
1つ目のヒントは歌川広重の『名所江戸百景 浅草田浦酉の町詣』です。
『名所江戸百景』は、晩年の歌川広重が1856年から1858年にかけて制作した錦絵で、当時人気だった江戸や近郊の名所・景勝地などの風景に、その時々の季節の行事や人々の暮らしを重ねて描いた作品群です。
この『浅草田浦酉の町詣』は、浅草の酉の市(11月の酉の日に商売繁盛などを願って関東各地で行われるお祭り)の場面を描いています。にぎわっているイメージの強い酉の市。しかしこの絵には、富士山と夕焼け、たそがれた猫が描かれており、静かな雰囲気が感じ取れる作品です。
ヒント2
2つ目のヒントは菱田春草の『黒き猫』です。
菱田春草は明治期に活躍した日本画家です。春草は、横山大観などの画家たちとともに「朦朧体(輪郭をぼやかして書こうとした明治期の日本画の技法)」を確立した人物として知られています。また、「朦朧体」で評判を得ると、新たに空気遠近法を取り入れた作風で評判を得ました。
『黒き猫』は「朦朧体」と「空気遠近法」という彼の得意技を組み合わせて作られた意欲作です。描かれているのは木の枝に座る黒い猫と柏の枝や葉のみで、構図もシンプルですが、その描写は繊細で写実的です。黒い輪郭線で装飾的に表現された柏の枝葉に対し、黒猫は朦朧体で輪郭を表現し、毛並み1つ1つまでもリアルに表現されています。
この作品は第4回文展に出展され、後に菱田春草の傑作として重要文化財に指定されることとなりました。ちなみに、今年(2024年)は菱田春草生誕150周年です!
ヒント3
3つ目のヒントは竹久夢二の『黒船屋』です。
竹久夢二は明治末から大正期に活躍した芸術家です。彼の描く美人画は「夢二式美人」と呼ばれ、「大正ロマン」の代表として有名です。
『黒船屋』は、鼻筋の通った顔、憂いを含んだ流し目、かすかに開いた口元が特徴の「夢二式美人」が、黒猫を抱きかかえた姿を描いた夢二の代表作です。『黒船屋』という名前は、夢二が創作した架空のお店の名前で、彼が以前経営していた「港屋絵草紙店」が「黒船屋」の元ネタになっているとされています。
今回のクイズに登場した竹久夢二は今年(2024年)で生誕140周年を迎えます。母が昔から夢二の作品が好きだと話していたので、ぜひこの機会に生で『黒船屋』をはじめとした夢二の作品を見てみたいです!
次回の「今日の一問・美術編」もお楽しみに!
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