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解説

正解は「レンブラント・ファン・レイン」でした。

▲レンブラントは70点以上の自画像を残しており、これはそのうちの1点です

ヒント1:AIによる「新作」が作られる

この「新作」は2016年に、デルフト工科大学やマイクロソフト社などからなるチームによるプロジェクト「The Next Rembrant」の中で制作されたものです。

レンブラントは非常に多作な画家として知られています。このプロジェクトでは346点のレンブラントの絵画をAIに読み込ませた上で、色彩や構図はもちろん、どのような人物が描かれやすいかまで分析し、レンブラントが好んだタッチや筆づかいまで完璧に再現するために3Dプリンターで出力されました。こうして、死後347年を経て、レンブラントの「新作」が誕生するに至ったのです。

ヒント2:物を立体的に見ることができなかった

私たちには目が2つ付いていますが、見える景色は右目と左目とで少しずつずれています。このずれによって脳が奥行きを認識し、私たちは物を立体的に見ることができるのですが、レンブラントにはそれができなかったというのです。

ハーバード大学のリヴィングストン博士らによる研究では、レンブラントの自画像の多くは、片目は鑑賞者の方を向いているものの、もう片方の目は外側に偏っていると指摘されています。左右の目で見えている景色のずれが大きいと、立体的に見える範囲が狭くなってしまいます。このことから、レンブラントは立体的に物を見ることが困難だったのではないか、と言われているのです。

▲晩年の自画像。片方を隠してみると、確かに右目が外側を向いているようにも見えます

しかしこれは絵を描く上で必ずしも不利になるわけではありません。三次元空間にあるものを二次元である絵に描くという点で、物が平面的に見える立体盲は有利に働きます。レンブラントの写実的な作風も、立体盲によるところが大きいのかもしれません。

ヒント3:「光と影の魔術師」の異名をとった

絵の道を志したレンブラントは、アムステルダムの画家・ラストマンに弟子入りするのですが、そこでカラヴァッジョの明暗法に出会うことになります。カラヴァッジョは主に宗教画で神秘的な光を描いていたのですが、レンブラントは明暗法を肖像画にも取り入れ、人間の内面を表現するのに応用しました。これにより「光と影の魔術師」「明暗の巨匠」といった異名をとることになったのです。

彼の代表作として知られる『夜警』は、光の当たり方を見ればわかるとおり、実際には夜でなく昼間の情景を描いています。これは絵画表面のニスが黒く変色したことで画面が暗くなり、夜の情景だと勘違いされたことでついた俗称だと言われています。

▲『夜警』の通称で知られているが、正式には『フランス・バニング・コック隊長の市警隊』という

ちなみにこの『夜警』、1715年にアムステルダム市庁舎に飾られる際、壁のサイズと合わなかったために四方を切り取られてしまったのですが、2021年、またもAIの力によって欠損部分が復元されることになりました。「魔術師」の失われた作品が科学の力で復元されるとは、なんとも感慨深いですね。


最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ次回の「今日の一問・美術編」にも挑戦してくださいね!

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この記事を書いた人

Raven

京都大学法学部卒。「ONE WORD, NEW DOOR」を座右の銘に、皆様が新たな世界への扉を開けるような記事を書くべく努力してきました。よければ覗いてみてください。

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