今週の「気になることば」を担当するシムラです。今回はオンライン生活で抱いた疑問について紹介します。
ミーティングから飲み会まで、様々なイベントがオンライン化を遂げた今年度。その影響はもちろん大学生活にも及び、大学の授業や研究関連のセミナーが次々とオンライン化しました。
オンライン化した授業やセミナーの後には、感想をWebフォームから投稿することがしばしばです。しっかりと感想を伝えるうえで、正しい敬語を使うことは欠かせません。
しかし、ここでひとつ問題が。
オンラインセミナーって、拝見する?拝聴する?
「拝見する」は「見る」の謙譲語。「拝聴する」は「聞く」の謙譲語。どちらも自分の動作をへりくだって使う敬語です。
- オンラインセミナーを拝見する
- オンラインセミナーを拝聴する
……どっちも使えそうな気がするぜ。
普通、動画は「拝見する」もので、セミナーは「拝聴する」ものです。
動画という媒体ベースで考えるならば、「拝見する」が適切なのかもしれません。特に、オンライン化に伴ってセミナー自体が動画用に編集されている場合は、「拝見する」にしておけば問題ないでしょう。
悩ましいのは、オフラインのセミナーをただ録画しただけであった場合。このタイプのセミナーは、オフラインであってもオンラインであっても実質的な内容に違いはありません。普段ならば「拝聴する」ものが、ただ動画を経由しているというだけで「拝見する」ものになるのでしょうか。
肉体的には拝見していて、精神的には拝聴している。ここの食い違いが、今回の疑問を生んでいます。
基本に立ち返って、敬語を使わずに考えてみます。
- オンラインセミナーを見る
- オンラインセミナーを聞く
なるほど、そもそもこの時点で、どっちが正しいのかちょっとわからないぞ。
そういうわけで、今回、私が出した結論は「わからない」です。
オンラインセミナー自体が急に台頭してきた概念ですから、今のところはどっちでもいいのかもしれません。そのうち、慣例的に言葉が定まってくるでしょう。
世間がどっちかに傾くまでは、「拝見する」「拝聴する」を使わずに感想を書いて、お茶を濁しておくことにします。「拝見する」「拝聴する」に代わる表現の案をお持ちの方は、ぜひ教えてください。拝借させてほしいです。
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