こんにちは、セチです。
ふと気がつけばもう9月も末、大学生でも夏休みの終わりが見えてきた頃です。皆さんは夏休みシーズン、どのように過ごしましたか?
夏休みといえば旅行、ということで飛行機を利用された方も多いと思います。
ところで、ドラマなどで見かける飛行機内のシーンに「お客様の中にお医者様はいらっしゃいますか?」というものがありますよね。でも、そんなに都合よくお医者さんがいるってことはあるんでしょうか……?
ということで今回は、こういったケースで、「実際に医者がいる確率はどれくらいなのか?」ということを考えてみたいと思います。
人口と医師数
といっても、実際にこのようなケースに遭遇した経験はないので、まずは単純計算からアプローチしてみることにします。
厚生労働省の調査によると、日本における医師の総数は31万9480人(2016年12月31日のデータ)。医師不足が叫ばれてはいますが、過去最多の数値になります。
日本の人口も同時期(2016年12月)に合わせると、約1億2692万人。現在はもう40万人くらい少ないようですが、これらのデータで考えることにします。
すると、人口10万人当たりの医師数は251.7人となります(ちなみに、国際的にはかなり少ない部類です)。
「医者がいる確率」=「【医者がいない】わけではない確率」
ここで考えようとしているのは「乗客に1人以上医師がいる確率」です。高校数学で習う範囲でもこれは計算できます。
しかし、「1人以上いる確率」をそのまま求めようとすると、「1人いるパターン」「2人いるパターン」……「n人全員医師のパターン」というように、多くのパターンを考えなければならず、たいへん面倒です。したがって、基本的な考えとしては「n人の乗客のうち、誰も医師ではない確率(nは正の整数)」を全体から除く、というものになります。
このような「n人を選び出す」計算には普通「組み合わせ」の式が用いられますが、今回は扱う数値が非常に大きいので、「【ランダムに1人を選んだとき、医師ではない】ことがn回繰り返される確率」を近似的に求めます。本当は、計算過程で医師ではない人が減っていく(と考えられる)ためズレが生じるのですが、「1億人のうちの1人なら大して確率変わらないよね」ということで、ひとまず値を求めてしまうのです。
意外とお医者様はいなかった
ということで、仮に1機当たりの乗客が400人とすると、先述の「人口10万人当たりの医師は251.7人」より「ある人(1人)が医師である確率」は0.002517(0.2517%)であるので、(1-0.002517)^400≒0.365となり、「400人の乗客のうち、誰も医師ではない確率」がおよそ36.5%。つまり、これを100%から引いた63.5%が「お客様の中にお医者様がいらっしゃる確率」ということになります。
もちろん、実際には様々な要素が絡むので、この通りの確率であるとは考えにくいです(医師は学会などで飛行機に乗ることも多いので、本当はもう少し高いのではないかと思います)。医師以外の乗客がサポートを申し出ることもあるそうです。
現実の対策
現在、JALは「JAL DOCTOR登録制度」、ANAは「ANA Doctor on board」という医師の事前登録制度を設けています。あらかじめ医師の存在を把握しておくことで、迅速に対応できるようにすることを目的としています。そもそも「お客様の中に~」という呼びかけを行わなくて済む状況を目指すということです。
機内での急病人対応は、数字だけでは測れない現実の問題。少しでも成功確率を上げるべく、航空会社の方々も力を尽くしています。