Bonjour! フランス語の情報番組を見るのが趣味な望月です。
デモ、ストライキ、ボイコットという言葉を、最近はニュースでよく見るようになりました。私の住むパリでは、週末に街を歩いているときにデモ行進とすれ違うことが多々あります。
似たような印象を受けるこれら3つの運動ですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
定義の違いを、過去の事例と併せて調べてみました。
目次
◎「デモ」とは? 主張はなんでもあり?
◎「ストライキ」とは? ポイントは主張の相手
◎「ボイコット」とは? ポイントはその示し方
◎【図解】3つの違いのまとめ
デモの主張はなんでもあり?
デモとは「デモンストレーション」の略。ある特定の主張や抗議の意思を持った人たちが、集団となってその主張を他に示す行為のことです。
定義はこれだけなので、主張内容が法律に抵触しない限りは、誰がどんな内容の主張をしても、立派なデモとして認められます。日本では、デモのために道路や広場などの公共の場を利用する場合は、事前に管轄の自治体に申し出る必要があります。
▲写真はイメージです
最近の大きなデモ活動といえば、フランスで2018年から起きている「黄色いベスト運動」です。これは燃料税の引き上げをきっかけに、政策への不信から政権に対する抗議活動として広がっていきました。
フランス全土に広がったジレジョーヌ(黄色いベスト)の毎週土曜のデモが29日も各地で行われました。SNS上では運動が来年も続くことを示そうと、31日夜にもデモが呼びかけられています。https://t.co/EYMOOrXk1l pic.twitter.com/YToII6UQ6W
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) December 29, 2018
蛍光色の黄色いベストは、フランスで自動車に常備することが義務付けられている身近なものです。始まった当時は毎週土曜日に、黄色いベストを着た人々がプラカードを手に街を練り歩いていました。
このデモをきっかけに、燃料税の引き上げ撤回と最低賃金の引き上げなどが政府から約束されました。
ストライキは企業に対するもの
ストライキとは、一般的に労働者によって結成された労働組合が、雇用者に対する交渉のために業務を放棄することです。
デモとの大きな違いは、労働者が雇用側に対して行うものであることです。個人が会社と交渉するのは困難なため、集団となって労働を放棄し、労働条件の改善を求めます。日本でもストライキは、労働者の権利として日本国憲法によって認められています。ただし公務員は、国民の安全な生活を確保するために、ストライキの権利は認められていません。
▲写真はイメージです
日本で起こったストライキとしては、1959年~1960年にかけて起こった「三池争議」が有名です。石炭から石油への転換というエネルギー革命のさなか、当時全国一の出炭量を誇っていた三井鉱山三池鉱業所(福岡県・熊本県)の人員整理が行われ、退職を迫られた炭鉱労働者たちがストライキを起こしました。
最終的には企業側が優位に立つかたちで終息を迎えましたが、戦後日本の大きなストライキとして、歴史に残る事例となっています。
ボイコットは「しない」抗議活動
ボイコットとは、特定の会社や団体に対して、買わない・参加しないなどの拒否活動をもって抗議することです。
その最大の特徴は、「何かをしない」という方法で抗議の意思を示す点です。ストライキと違い、必ずしも労働者が雇用主に対して行うとは限りません。
有名な事例としては、1976年モントリオールオリンピックでのボイコットです。南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策に反対していたアフリカ諸国22ヵ国が、人種差別への抗議の意思を示すためにオリンピックへの参加を拒否しました。
おわりに
デモもストライキもボイコットも全て、強い意志・抗議を示す手段です。しかし、方法や内容・抗議する相手などについては、それぞれ異なる定義を持っています。
パリでの生活は、常にデモやストライキと隣り合わせです。例えば、一昨年の冬には鉄道会社の従業員による大規模なストライキがありました。電車が動かないため、学校から家まで帰れず、友人の家に泊めてもらって乗り切りました。
また、週末のデモ活動も珍しくなく、デモ行進による混雑を避けて目的地まで迂回して行くこともあります。
抗議活動を行うことは表現のひとつであり、皆がその権利を持っています。一方で、公共サービスがストップしたり、純粋な目的からずれて暴徒化する人が現れたりと、周りに迷惑がかかる場合があるのも事実です。両方のバランスが取れた中で活動が行われたら、理想的ですね。
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