『ちはやふる』などの作品により、百人一首といえば、かるた取りの題材になる古い和歌100首であることはよく知られているでしょう。
また、歌の内容をわかりやすく解説・脚色した本や漫画が多く存在します。春夏秋冬の季節の情景を美しく詠んだもの、恋愛における心情を華麗に詠んだものが多いことを、ご存じの方も多いでしょう。
一方で、百人一首には、四季と恋愛以外のジャンルの歌も、少数ですが存在します。旅を詠んだ歌、出家と隠居の楽しみを詠んだ歌、世の中を救いたいという志を詠んだ歌などです。
そして、私が一番好きなのは、人生で遭遇する出来事に対して、つらい気持ちを表現した歌です。今日は、私がそのジャンルに当てはまると思った歌を取り上げていきましょう。
以下の記事では、諸説あるなかの主要な説のみを採用した部分があります。また、歌の感想を述べる部分では、私の想像が含まれます。作者の名前は百人一首に掲載されたままではなく、現代で一般に使われている名前に直しています。