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お話をうかがったのは、「500色の色えんぴつ」の企画や制作に関わってきた吉田綾貴子さんと比良真理子さんです。

なぜ「500色」になったの?

そもそもなんですが、「500色の色えんぴつ」という商品は、いつ誕生したのですか?
最初に登場したのは、1992年のことです。その後も定期的にモデルチェンジしていて、現在販売している「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」は第4世代にあたります。
1992年、私はまだ生まれていない年だ。そんなに長い歴史があったんですね。

▲なんと「500色の色えんぴつ」は今年30周年を迎える

1992年はコロンブスのアメリカ大陸発見から500周年にあたる年で、この「500周年」にちなんだ商品のアイデアを社内で公募しました。そこで集まったアイデアのひとつが「500色の色えんぴつ」でした。
「500」という数字にも意味があったんですね。ところで、すべての色に個性的な名前がついていますが、これを考えるのは相当大変だったのではないですか?
当初は「大変そう」よりも「おもしろそう」が先に来ましたね。500色もある色えんぴつなんて、お客さまに絶対喜んでいただけるだろうな、と。

実際に色の名前を考え始めてから、「これは大変なことを始めてしまった……」と思いました(笑)。
やっぱり500色も考えるのは大変なんですね……。

色の名前、どうやって決めたの?

500種類もある個性的な色の名前は、どのような方法で決めたんですか?
現在販売されている「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」には、「海外の方にも楽しんでもらいたい」という思いから、日本語だけでなく英語の色名もついています。

英語の色名はオーストラリア在住のアーティストに協力してもらい、一緒に生み出しました。その後、対応する日本語の色名を社内の20人ほどで考えました。

▲各色には英語の名前もつけられている(フェリシモ提供)

日本語の色名をゼロから考えたわけではないのですね。ちなみに、色名を全て考えるのに、どのくらいの時間を要したのですか?
半年くらいかかりました。
半年も……!
ここでこだわったのは、「絶対に英語の直訳で終わらせない!」ということです。様々な情景が思い浮かぶ色名をつけるように心がけました。
色名の最後は「〜〜色」とする、というのが唯一のルールで、それ以外は自由でした。色名とは思えないような色名をつけたかったんです。
なるほど! 「マンゴー色」だけでも伝わるところを「甘く濃厚な香りで魅了する、誘惑のマンゴー色」とする。そこにこだわりが詰まっているんですね。
そうなんです。私たちは、「500色の色えんぴつ」に対して「色を塗る道具を売っている」とは思っていません。様々な色を見て「すごい!」「わぁ、きれい!」と思ってほしい。色えんぴつを通じて、心の暖かさや彩りといったしあわせを感じてほしいんです。

色えんぴつ同士を区別するだけなら、番号で分けるとか、「赤と青を〇:〇の割合で混ぜた色」のような名前でも事足ります。ただ、しあわせを感じてもらうには、機械的につけた名前では絶対にダメなんです。
色を見ることで、思い出、味、匂いなどが浮かんでくる。そして、感情が盛り上がったり、じーんと来たりする。それを表現したのが、「500色の色えんぴつ」の色名たちです。
確かに、日常に転がっている「ちょっとしたしあわせ」をうまく言語化した色名が多いですよね。

▲さまざまな感情を切り取った色名がずらり

ところで「初恋は実らない。ライラックが流した涙色」という色名がありますよね。この色名が気になってライラックについて調べてみたら、花言葉のひとつに「初恋」があることがわかりました。

「この花言葉にちなんで色名をつけたのかな?」と思ったのですが、色名を決めるときに周辺知識は結構調べるんですか?
めちゃめちゃ調べてつけています。その色にまつわる言葉、歴史上の人物、物語などを、相当な時間をかけて調べ上げましたね。

▲「初恋は実らない。ライラックが流した涙色」

やはりそうだったのですね。

あと、私は旅が好きなので、地名を使った色名がたくさんあるのが印象的でした。特に気になったのが、「登別の湯煙色」。英語名は「MOUNTAIN AIR」なので、温泉とは直接関係がない色名ですよね。

▲こちらが「登別の湯煙色」

そのあたりに、私たちの「ちょっとふざけたい」気持ちが表れていますね(笑)。「おもしろい色名、考えちゃいたいな」と。この色名を考えた人の「温泉に行きたいな〜」という気持ちが表れたのかもしれません。
その上で、ただ「温泉の湯煙色」とするのではなく、「登別の湯煙色」とするのがおもしろいな、と思います。その方が、情景を思い浮かべやすいですよね。実際に色えんぴつを持って登別に行って、本当に湯煙がこの色なのか確かめてみたいです(笑)。

一番好きな色の名前は?

お二人が一番好きな色の名前はなんですか? ちなみに、私のお気に入りは「集中した眼差しにともる静かな闘志色」です。

▲こちらが「集中した眼差しにともる静かな闘志色」。さっきの「登別の湯煙色」よりやや濃いめ

「闘志」という言葉からは炎の赤っぽい色をイメージする人が多いと思いますが、「集中した眼差しにともる静かな闘志」をこのような色で表現するのが素敵だな、と思います。
青い炎の方が、赤い炎より温度が高いですからね。
たしかに……!
私は「あなたに出会えて本当にうれしい!っていう色」とか「うれしいときって跳ねるんだ!と気づいた日の驚き色」が好きですね。「500色の色えんぴつ」という商品を企画した意図が、こうした色に表れている気がします。

▲吉田さんのお気に入りの2色

たくさんありすぎて、選ぶのが難しすぎる(笑)。この色えんぴつでは「しあわせの色」をたくさん集めていますが、そのなかでも色名に「しあわせ」という言葉が使われているものがあります。それが「夢の続きでまた会いたい、二度寝するしあわせ色」です。

▲比良さんのお気に入りの「夢の続きでまた会いたい、二度寝するしあわせ色」

まどろみながらも枕に頭をうずめる時、私の頭の中はこのような色かもしれないな。このように、「色の名前を一つ一つ見て、それを自分の中に落とし込んで、しあわせを感じる」ということを、多くの人がやってくれていると思います。

500種類もある色の名前には、「色えんぴつを通して、多くの人にしあわせを届けたい」という想いが込められていたのですね。お二人のお話からは、苦労しながらも楽しんで色名を考えたことが伝わってきました!

今年(2022年)4月15日より、販売開始30周年を記念した「みんなで描こうキャンペーン」が開催されており、期間限定で割引販売もされています。この機会に、「しあわせ」を表現した色えんぴつに触れてみてはいかがですか。

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この記事を書いた人

森田 晃平

東京大学文学部に在学中。旅・駅・スイーツ・浦和レッズが好き。何気ない日常を切り取るクイズをたくさん作りたいです。よろしくお願いします!

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