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ランドマーク税理士法人

こんにちは、服部です。

僕は生まれも育ちも愛知県。実家が名鉄沿線なので、初めて持ったICカードはmanacaでした。

切符を買う手間もなくスイスイ入場。残額が足りないときも、電車から降りてからチャージすればよいのです。

 

ところがどっこい。

大学に合格して上京。同じノリで改札からホームへスイスイ入場……しようとしたところ。

無惨にも鳴り響く「ピンポーン!」という音。

「バタンッ!」と閉まるちっちゃい扉。

ちなみに、エラーがあると閉まるチビ扉の名前は「フラップドア」といいます。

なんと、関東圏ではチャージ残額が少ないと、改札の内側へ入場できないというのです。

被害者はけっこう多いらしく、これを皮肉った画像が20万回以上リツイートされていました。

どうやら大阪も愛知と同様に、残額が少なくても通れるとのこと。

では、なぜ関東と関西とで違いが発生しているのでしょうか。

ネットで調べてみる

各社の約款はどうなっている?

まずは、地域による差が本当なのか、鉄道各社の約款(やっかん)をチェック。約款とは、多くの人々と契約を交わすときに作っておく決め事で、企業を相手にするときにはまず見るべきなのです。

 JR東日本の約款で該当部分を探すと、ありました。

第24条 3. 次の各号の1に該当する場合には、ICカード乗車券を自動改札機で使用することはできません。

(1)入場時のSF残額が当該駅の最低運賃相当額に満たないとき(Suica定期乗車券の券面表示区間内の駅から入場する場合を除きます。)

つまり、ある駅から乗ろうとするとき、隣の駅までの運賃くらいは残ってないと改札を通せないよ、ということです。これは東京メトロでも似たような文言になっています。

次に、JR西日本はどうでしょう。

第10条 3 次の各号の1に該当する場合には、ICOCA乗車券は直接自動改札機で使用することが できません。

(1) 入場時にSF残額がないとき(ICOCA定期券の券面に表示された有効期間内で券面 表示区間内から入場する場合を除きます。)

これはSF残額がないとき以外、つまり1円でもチャージ残額が残っていれば改札内に入れるということです。

ちなみに、JR東海の約款はというと、改札入場時のICカード残額の規定はありません。交通系ICカードをタッチさえすれば、残額が0円でも改札内に入れてしまいます。さすがは僕の故郷、めちゃ寛容。

このように、各社はそれぞれ異なる約款に従って、改札機のシステムを設定していると考えられます。

「約款」は見慣れない言葉ですが、航空会社でトラブルが起きたときによく「実は約款という決まりがあるんだよ」というツイートが拡散されています。「荷物が届かない」とか「オーバーブッキング」とか、最近では「障がいをもつ方の搭乗を拒否した」というトラブルもありましたね。

約款は、穴を潜り抜ける犯罪を防いだり、事故などの最悪の事態を回避できるように設けられています。特に、航空業界でのこうしたトラブルは国際的に影響が及んだり事故につながる可能性が考えられます。

しかし、実情にそぐわない条項や硬直的な運用が、旅客との摩擦の原因の一つでもあるようです。

約款はどうして異なる?

では、これらJR各社の約款がどうして異なるのかが次の課題。

ネットで検索すると、いくつかの記事がヒット。それらをまとめると、主に2つの説がみられました。

1.かつてのプリペイド式磁気カードでも同様の違いがあった

つまり、「昔のプリペイドカードについても各社で違う仕組みで、それぞれを引き継いだよ」ということ。でも、この説明はあまり疑問の解決にはなっていない気もします。磁気カード時代にはなぜ違いがあったんでしょうか。

2.鉄道営業法15条の解釈の違いによる

こちらは、「鉄道各社が法律を違ったように解釈しているので、会社によって約款が違うよ」ということ。

肝心の鉄道営業法15条は何と言っているかというと、

第十五条

旅客ハ営業上別段ノ定アル場合ノ外運賃ヲ支払ヒ乗車券ヲ受クルニ非サレハ乗車スルコトヲ得ス

この文章を忠実に読めば、「客は運賃を先払いしてから乗れ」ということでJR東日本はこの論理なのでしょう。しかし、「別段ノ定」、つまり例外の規定があれば、運賃をまだ払っていない客も乗ることができ、JR西日本や東海はこの抜け道を使っているのでは、ということです。

なんとなく納得できるかもしれませんが、それでも「何で解釈を統一しないんだ!」という文句はつけられます。

JR東日本に電話で聞いてみた。

上に書いた約款が異なる理由は、どれもYahoo知恵袋での回答者さんの話。一番手っ取り早くて確実な方法は直接取材ですね。

「JR西日本に聞いてみた」というような記事は、こちらなどいくつか発見しましたが、今回クローズアップしたいのは、残額が少ないと通れない点です。JR東日本に聞いてみました。

服部:地域ごとで改札から入場できる条件が違うのはなぜですか?

鉄道各社ではそれぞれ独自に仕組みを採用しているからです。

これはまだ導入。「JR東日本」と「JR西日本」が別物であることは百も承知なので、核心に迫ります。

服部:こちらが調べたところ、「各社で鉄道営業法の解釈に違いがある」という説を発見しましたが、こちらについてはいかがでしょうか?

この質問について、オペレータさんは「お調べいたします」との返答。さすがにすぐには回答できなかったようです。保留音の『メヌエット』を聞くこと数分後。

鉄道営業法との関連は不明ですが、JR東日本の約款で、各駅における最低運賃が残額として残っていないと入場させない、と決められています。

 

やはりICカード導入に携わった人まで質問が届かないと、詳しい経緯は教えてもらえないようです。約款を定める経緯などは、利害が絡んで複雑だったりするのかも……。

真相はお預けとなってしまいましたが、これを読んだみなさんは、自分の地域の鉄道会社がどういうスタンスなのか調べられますね。

ぜひ快適な鉄道の旅にお役立てください。

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この記事を書いた人

Kosuke Hattori

東大経済学部を卒業しました。各記事が学びと発見への新たな入口になればと思います。よろしくお願いいたします。

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