「知のアーカイブ」になれたのか?
改めて、この10年で「知のアーカイブ」的になれたと思う?
「百科事典」的な項目の数だけでいえば、まずまず揃ってきたとは思います。
今年1月に「QuizKnockの記事を全部見れば、世界の国が全部載ってるんじゃないか」なんて検証記事が出まして。
カリブ海のアンティグア・バーブーダ以外は全部出てきてたってことがわかったよね。
記事のネタを精査していても、今は「これ前にやったんじゃないか」となってしまって、やっていないネタを探すほうが大変なんです。10年の積み重ねを感じますね。
そろそろWebで公開された記事が1万本を超えるんでしょ? 1万本って、1日1本でも27年くらいかかるわけじゃん。図書館だって、1冊1冊はアーカイブになろうとしてない。やることやってたら、結果的にアーカイブになってるって状態がいいよね。
最初の3年は、みんなが気になる疑問をそのまま記事にできたから得してたんだよね。今はロケ前にその頃の記事を読んで「QuizKnockに書いてあるから裏取り済みだな」とか思ったりして(笑)。
昔の記事は情報が古びていってしまったり、図書館と違って体系的に並んでいなかったり、といった問題はあるんですけどね。
取材の記事もノウハウが蓄積されてきて、知られざるおもしろい世界の一部をみなさんへ届けられる場所にできてきているなと思います。
ちょっと脇道にそれますけど、外部に取材依頼をすると、お返事と一緒に「いつも見てます」と返してくださる方も増えました。
少し前、伊豆シャボテン動物公園さんに取材依頼をしたら、それより前に別のお仕事でQuizKnockとご一緒したときの担当者さんと同じ方で。メディアとして培ってきたものがあることも実感できましたね。
ありがたいね。そういう方々に支えられて今がある。
AI時代に、Webはどこへ向かう?
じゃあ、10年を迎えて、これからチャレンジしたいことは?
正直、Webメディアは厳しくなってきてますね。検索した段階でAIが答えてくれる時代になってきているし。
記事までたどり着いてくれる人は、すごく少なくなっていますよね。
でも、ここは何かに興味がある学生が集まっている場所だから、入り口としてはちょうどいいとも思っていて。たとえば、今年公開した「土偶だけのクイズ記事」。他のメディアではきっと出せないけど、「土偶ってこんなに種類があるんだ」という発見の入り口になる。
企画会議では常に「さすがにこれは読んでもらえないでしょう」vs「いや、世の中に1つあったほうがいいよ」のせめぎ合いがありますね。
それを「あっていい」と言えるメディア、なくしたくないよね。取材記事も同じで、我々が取材しなかったら文字にならない情報がある。
体験記事にも未来を感じています。「実は僕、こんな研究をしてて」みたいな話は、AIが発達しても届きづらい。誰か個人が書く記事だからこそ価値があるものは、きっと読まれ続けます。
だからこそ、ぐるぐる回るだけで遊びにも学びにもなる場所であり続けたいんですよね。
その上で、「QuizKnockにもう頼らなくてもいいぜ」って人が出てきてほしいとも思います。記事で知ったことを、自分の行動の原動力にしてくれる人が増えたら、QuizKnockは本当に世の中のためになってるんだなと思えるので。
全部の知がQuizKnockにあるわけじゃないからね。他の図書館もある。
僕、2つあって。1つは、ライターがおもしろい記事を書くことで、未来のQuizKnockを作っていく人たちが次々出てきてほしい。QuizKnockで書くことでスキルアップしてもらえるように、編集もライター育成に力を入れたいですね。
もう1つは……僕、バカなことをやる大人が好きなんですよ。
おっ。
でも、ただアホなことをやるだけじゃなくて、遊んでるうちに変な知識が身についていく。遊びの中に学びがあるメディアであり続けてほしいです。
「気になる」を「気になる!」に
10周年を迎えるにあたって、今年、Webチームで話した新しいコンセプトがあって。「『気になる』が『気になる!』になるWebメディア」です。
ちょっと気になるな、くらいで立ち止まった人が、記事をきっかけに「なんだこれ、もっと知りたい!」となる。「こういう世界もあるんだ」「こういう選択肢もあるのかも」と、道を広げる入り口になれたらいいなと。
歩いて楽しい図書館だね。東大の図書館に何年も通ってるのに、いまだに知らない部屋があったりするわけ。歩き回って新しい興味を発掘できるのが、真に楽しいアーカイブだと思うんだよ。
目当ての本の隣にある、全然関係ない本を手に取るような体験ですよね。
そう。興味が限定されて便利になった時代だからこそ、知らないところから興味が飛び込んでくるWebの価値はすごく高い。10年前に掲げたコンセプトの意義が、今になってより高まってると感じたよ。
だから入り口は広く開けて、見やすいところに楽しそうなものを置いておきたいですね。
ただ、アーカイブは使われてこそですから。10周年のタイミングでサイトのデザインを変えて、過去の記事にもっと回遊しやすい仕組みにしようとしています。
10年やっていればどうしても人気記事にスポットが当たりがちだとは思うんですが、それよりもっとたくさんの記事があることだったりとか、読者のみなさんひとりひとりが面白いと思う記事に出会ってほしいですね。
Webメディア全体への逆風を、QuizKnockはちゃんと跳ねのけていきたい。10年前の自分に「こうなってるよ」と報告したいくらい嬉しいです。
QuizKnockのWebは、これからもみなさんの「気になる」を「気になる!」にできるような記事をお届けしていきます。10年間、本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくお願いします!
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制作:あさぬま、石田武蔵、カタヤマ、志賀玲太、山口真央
撮影:廣部明日実
校正:コジマ