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QuizKnockは「知のアーカイブ」になれたか?伊沢と編集部で10年を振り返る

10周年、これまでも、これからも!

QuizKnockは「知のアーカイブ」になれたか?伊沢と編集部で10年を振り返る

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「クイズ」で作ったアーカイブ

ここからは記事の話もしようか。
WebメディアQuizKnockは「読者のみなさんがクイズを解けるメディア」であることが大きな特徴で、そもそもクイズの能動性に注目したのがこのメディアのスタート地点だからね。YouTubeはどうしても受動的だから、自分で触って関われるのは今でもすごく強い。
常識Knockに始まって、サイトが立ち上がった2016年10月2日からいろんなクイズ記事が出ましたもんね。
初日にこのラインナップ出すメディア、変だよな。
クイズの連載記事も、いろいろやってきましたよね。
常識Knockは最初からあったし、少し遅れて姉妹編の「博識テスト」も始まった。

ニュース・トレンドのクイズが解ける「朝Knock」も人気でしたよね。2017年から2024年の途中まで、平日は毎日更新で。

QUIZ GYMは私がライターで加入する前、ただの読者だった頃によく読んでたんですけど、かなりクイズプレイヤー向けの記事でしたよね。解説も、クイズの答えに関するものだけじゃなく「早押しの極意」みたいな内容も入ってて。

あんなものを毎週作ってたの、びっくりだろ(笑)。俺も大量に書いた記憶がある。
この前WHAT(QuizKnock主催のクイズ大会)の取材に行ったら、一番前に座ってる子がiPadでQUIZ GYMを解いていてびっくりしました。
クイズをがんばろうと思ったら、今でもQUIZ GYMが選択肢に上がることがあるんだなと。
アルバイトの学生の中にも、「昔QUIZ GYMで勉強してました」と話してくれる人は結構いますね。あとは「クイズ!七種競技」なんかも。

当時は必死こいて毎日記事を作ってたけど、それを続けたことがアーカイブ性につながってるのはすごいことかもね。
たくさん作ったクイズのシリーズといえば、「クイズで日本旅行」の話もしたいですね。
1つの都道府県についてのクイズを全47回分、ってやつね。よく完走したよね、あれ。
書き手によってカラーが全然違うのがいいんですよね。Mimoriさんが書いた「東京」の回とか、すごくおもしろいですよ。

Mimoriさんは東京、大阪、福井、沖縄、宮城……観光地も人口も大きいところをちゃんとやってるんだよな。今ざっと見ても、作者が全然違うのがおもしろい。
最終的に書籍化していただけたのもありがたかったですね。あの記事を読んで、旅先を考えた読者の方もいたりするのかな。
クイズのために作った記事が、結果的に辞書やガイドブックみたいに使われていくのはおもしろいよなぁ。

「1日記事8本」時代があったワケ

2021〜23年あたりは始まる連載も、終わる連載も多くて、いろいろな動きがありました。
画面だけじゃなくて紙やペンが必要になる連載「ひらめけ!算数ノート」や、一問のクイズに特化した「今日の一問」シリーズを始めました。
お昼に日替わりのミニコラムを連載していた時期もあって、そのうちのひとつが、今でも不定期で出している「思い出のクイズ」ですね。

特に2023年あたりは「あれもこれも作ろう」となって、一番記事本数を出していた時期でしたよね。
1日に記事8本くらい出してね。
編集部の規模や記事制作の手間、特にファクトチェックにかかる時間を考えると、なかなかの数字でしたよね。
3周年の座談会では「毎日3記事出してたのってすごいですね」って言ってたのに。
▲「どうやって過ごしてたか覚えてないかも」
かなり狂気的だったよね。どうしてそんなに記事を作れていたんだろう?
当時は記事を作った分だけPV(ページビュー)数も取れていましたし、「まだまだここに鉱脈があるぞ」と思えていたんだと思います。「知のアーカイブ」には程遠い状態で、少し掘れば記事の原石が見つけやすかったというか。
コロナ禍明けで、Webメディア全体は逆風の時期だったのにね。
PVが取れそうなものに固執することもできましたけど、空振り覚悟で新しい鉱脈を探していましたよね。
実際、そのときに見つけたものに、今支えられてるところもあると思います。

終わる連載、始まる連載

それでいうと、2023年ぐらいから潮目が変わった感覚もあるんだけど、どう? 「常識」とか「博識」とか、長く続いた連載の打ち切りもあったじゃん。
俺がメインで関わっていた頃はあんまり連載を「畳む」ことはしなかったから、覚悟あるなと思ったよね。
QuizKnockがクイズの連載を畳んでいいのか、はずっと悩んでいましたね。
常識Knockや博識テストは回を重ねて、そのジャンルでお届けできるものはやりきったかな、というのがあって。2022年に、それぞれ別コンセプトの連載にリニューアルする形で終了しましたね。
QuizKnock立ち上げ当初から続いていた「朝Knock」も力及ばず、だんだん人気に陰りが見えて、最終的にはいま休載している状態です。
連載って、当時Webの背骨みたいなものだったからね。
クイズ好きに向けた発信は担保した上で、それ以外はもっとカジュアルに裾野を広げていい、とも思い始めて。
それまで渾然一体となっていたものが両極に分かれたというか、ターゲットが明確になったんだと思います。
読者が幅広くなってきた感じはあるよね。「アーカイブ」の道半ばとはいえ、既にいろんな記事があったわけだし。
常識・博識の後継にあたる「二択でGO」や「ものしり5」ではもう少しポップさを意識したり、読者がサクサク解ける感覚を大事にしたりしていました。
※「二択でGO」「ものしり5」も2024年限りで終了
昔はネットでバイラルになるクイズって「〇〇判定クイズ」みたいな、とにかくTwitterのトレンドに入りやすいものだったけど、今はそういう時代じゃないもんね。
それぞれの読者に合うものを出していこうとした結果、いろんなジャンルに広がっていった気がしますね。

「クイズ以外」への広がり

いまの話を踏まえると、クイズ以外の文脈の記事が増えたのも自然な流れだったかもね。
その時期から「専門家に聞いてみた」記事とか、ライターの個性を生かした連載も目立ってきて。
取材系の記事だと「なぜ5円玉と50円玉にだけ穴があるの?」「はま寿司、醤油の種類多すぎ!」あたりは思い出深いですね。
編集部に野口さんがいたのもこの時期ですよね。
動画出演メンバーへのインタビュー記事や大型の企画……野口さんの残したものはあまりにも大きいですね。「知のアーカイブ」に必要だけど、まだ見えていなかった扉を開いてもらったようで。
それこそ、伊沢さんの「低倍速プレイリスト」も野口さんとの企画でしたし。

毎週木曜のお昼に原稿が回ってきて、誰かがワーッと校正して、夕方に公開して外を見ると夕焼け……みたいな時期、ありましたね。
締切りからは、すごい距離逃げてたけど(笑)。火曜の深夜にやっと出す、とかしてた。野口さんにめっちゃ負担かけてたな。
あとは雑談中みたいな新しい企画は、始めるのに勇気がいったんじゃない?

PVが右肩上がりとはいえなくなった時期に、Webの役割を考えたんですよね。
メンバーがYouTube動画やQuizKnockのコンテンツを飛び出して活躍するようになったので、それを広めたり、バックアップしたりするのもWebにできることなんじゃないかと。
QuizKnockメンバーに何かのきっかけで出会ってくれた人が「この人のパーソナルなところが知りたい」と思って来てくれて、その流れで「知のアーカイブ」にアクセスしてくれたら、すごくいいじゃないですか。
間違いない。映画の分厚いパンフレットや設定資料集みたいに、表の話も裏側の話も同じ場所でできるのがWebの良さだよね。

新しい「遊べる」クイズ

とはいえ「QuizKnock」なので(笑)、形は変わりつつもクイズの記事は作り続けていましたよね。
前回の座談会以降の7年で一番大きな変化は、QuizKnockがここまで大きくなったことだと思うんです。クイズに触れる人が増えたからこそ、Webでもより深いところまで求められるようになってきた。
『8番出口』風や「トロッコアドベンチャー」風の記事みたいに、バラエティ番組で行われるようなクイズを自分でもやってみたい読者が顕在化してきたような気がするんです。
志賀さんも「ドボンクイズ」を生み出していますしね。「自分だったらこうしたい」という需要に応える参加型のクイズは、この5年くらいで開拓できてきた感じがします。

僕も「須貝さんと友達になろう」という記事など、遊べる記事はよく作ってきましたね。

逆にかつての「ディープなクイズ」路線を突き詰めたようなコンテンツが、今年(2026年)始まった「クイズを味わう」だよね。

10年前は仲間内で、せいぜい20人くらいにしか出せなかったような最先端のクイズが、今「クイズを味わう」で紹介されて、界隈の内外で話題になる。
「クイズ業界」ができて数十年、クイズの「ネイティブ」な部分を保存しておける場所は少なかったから、これは未来に向けて価値のあることだと思う。
「クイズを味わう」はクイズの連載であって、クイズでないとも思っていますね(笑)。
もちろんクイズの普及という側面もあるんですが、クイズという題材を通して「どうしたら物事をうまく伝えられるか?」とか、「自分はどんなものが好きなんだろう?」と考えてもらえたらいいな、という思いも乗っていて。
ほかの創作物と比べて、クイズは「自分でも作ってみようかな」と思う、少なくとも「作った人の気持ちになってみる」ハードルは低めだと思うんです。
そんな話もあって、クイズを「解いて楽しむ」だけではなく「味わう」という連載が続いていますね。
こういう連載ができるのも、クイズ文化が以前より広まっているおかげって気はしますよね。ありがたいことに。
最近「作問」という言葉もかなり一般化しましたよね。タレントさんがテレビ番組とかで普通に使ってたり。

「2万人がクイズを解く」メディアに

俺らがQuizKnockを始めた頃は、クイズ企画をやっているWebメディアがいっぱいあったんだよ。
でも今はもうほとんど見なくなった。俺ら、ちょっと生き残りみたいな部分さえあるよね。
社外の企業さんとお仕事をさせてもらうときも、伊沢さんがお話ししていた「能動的に取り組める」という要素は、いまでもWebの強みとして必ずご紹介していますね。
QuizKnockの記事に入っているクイズ機能(Viral Quiz)だと、「何人が解いて、何割の人が正解したか」がわかるので、「こんなに解いてもらえているんだ」というのが客観視できるんです。
10年前も「クイズでデータが取れます」は売り文句としてあったけど、企業さんに買ってもらえるほどのインパクトはなかったからね。
協賛でなくても、この前クイズのアンケートをお願いしたら2万人規模の調査になってたじゃん。当時は考えられない。ここ1〜2年、最初に思い描いていた夢が叶ってる感覚があるよ。

クイズを能動的に解いてもらえるぶん、どこまで理解してもらえたかも見えるんですよね。私はYouTubeのディレクターを中心にしていた時期もありますけど、動画とまた違うおもしろさを実感しています。
リアクションがダイレクトに返ってくるのは、本当にありがたいことだよね。
▲「感慨深いわ~」

文字だからできること

「インテリカクテル選手権」などの大型の企画記事も、文字媒体だからこそできるおもしろさがあると思ってやってきました。動画に出ているメンバー以外にも、こんなにおもしろい人がいるんだよと知ってほしくて。

動画は時間が流れるから、間やツッコミがうまくいくかでおもしろさが変わっちゃう。Webなら制作しながら一言一言を緻密に決めることもできて、そこがいいよね。
記事だと、難しい話も堂々とできるんですよね。動画だと飛ばされてしまいそうな話も、すんなり読み進めてもらえる。
10年前に水族館の企画をやったときは、デイリーポータルZやオモコロのイズムを俺らが共有してたからやったけど、当時は続ける体力がなかった。それができるようになったのは、俺的にはすごく嬉しいよ。

田村(正資)さんの言葉を借りるなら「クイズの内側」と「外側」、それぞれの旅がWebの中でも進んでいっている気がしますね。

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QuizKnock編集部

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