こんにちは、セチです。
私は中学でクイズ研究部に入部してから今まで、いわゆる「競技クイズ」の世界に身を置いています。
人生のおよそ半分の期間で、クイズに浸かっている計算になりますから、これまでに出会った問題は数え切れません。
中でも、「答えられたから勝てた」「答えられなかったから負けた」という記憶を伴う問題は特に印象深く心に刻まれています。
今回は「答えられたから勝てた」問題の中から1問、一生忘れられない「思い出のクイズ」をご紹介します。
abcという大会がある。
「新世代による基本問題実力No.1決定戦」をコンセプトに、大学4年生以下を対象に毎年開催されているクイズ大会で、競技クイズの道に入った多くの中高生や大学生にとって大きな目標となる。
私も例外でなく、abcで勝ち上がることを夢見て、実力を磨いた。
そして、大学4年で迎えた最後の大会。優勝だけを目指して正解を重ねた私は、なんとか決勝に進出することができた。
決勝戦は「トリプルセブン」。3人で短いセットの早押しを繰り返し、いち早く3セットを制した者が優勝となる。
決勝ともなれば当然相手も手強く、紙一重の戦いをしのいで第1・2セットを連取したものの、続く第3セットは落としてしまった。
このまま流れを渡せばあっさり逆転される――。
勝負の第4セット。一時は先行されるもギリギリのところで追いつき、自分ともう1人がリーチとなる。
お互いに「正解すれば自分がセット獲得、誤答すれば相手がセット獲得」という極限状態。
「次の問題は絶対に点ける」と決意し、早押しボタンに指をかけた。
「問題。単に――」
「単に」と来れば、次にキーワードが来る確率は高い。自分を信じて押しに行った。
「――『楽(らく)』/」
点いていたのは自分のボタン。答えはすぐに浮かんだ。
1秒だけ置いて、発声した。
「千秋楽」
正解音が鳴り、私の優勝が決まった。
「千秋楽」は、相撲などの興行の最終日を指す言葉。これが学生として最後の大会の最後の答えになるなんて、あまりにできすぎだと思った。
「競技クイズ」に限らず、クイズに答えるという行為には何物にも代えがたい興奮がある、と私は思います。
これを読んでくださった皆さんが、クイズを通してかけがえのない喜びを得られますように。
過去の「思い出のクイズ」はこちら。