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解説
正解は、東京国立博物館でした。
東京国立博物館は日本最古にして最大級の博物館です。日本の人文系の総合的な博物館として、日本と東洋の文化財の収集、保存、展示、調査などを行っています。
はじまりの地・湯島聖堂
湯島聖堂は江戸時代中期に、幕府が湯島(現在の東京都文京区)に建てた、孔子を祀る大聖堂です。もとは儒学者・林羅山が自身の私塾に設けた聖堂を、五代将軍・綱吉が移転したもので、江戸後期には幕府直轄の学校である昌平坂学問所もここに開かれました。
1871年、日本政府はオーストリアで開催されるウィーン万博への参加要請を受けました。政府は文部省博物局を設置し、大隈重信らを中心に陳列品の収集を開始します。そして翌年、日本初の博覧会となる湯島聖堂博覧会が、万博の準備も兼ねて開催されたのです。東京国立博物館はこの博覧会を創立・開館の時としています。
また湯島聖堂には、日本初の博物館である東京国立博物館だけでなく、日本初の近代的図書館である書籍館が置かれたほか、東京師範学校・東京女子師範学校(それぞれ現在の筑波大学・お茶の水女子大学)も設置されました。明治維新後に昌平坂学問所は閉じられたものの、湯島聖堂は近代教育が発展していくまさに中心地だったのです。
コンドル設計の初代本館
湯島聖堂から内山下町(千代田区)を経て、博物館は上野の寛永寺跡へと移されました。そしてこの地に建てられた初代本館を設計したのが、鹿鳴館などの設計で知られるイギリス人建築家のジョサイア・コンドルです。
レンガ造りの2階建てで、正面左右にドーム状の屋根飾りが設けられた特徴的な外観は長らく市民に親しまれ、またコンドルの初期の業績を語る上でも外せない大作でしたが、1923年の関東大震災により失われてしまいました。
ちなみにコンドルには、東京駅を設計した辰野金吾をはじめ、多くの弟子がいましたが、うち一人の片山東熊は、東京国立博物館の敷地内にある表慶館の設計を手がけています。
現在の本館
関東大震災によって失われた本館に代わって1938年に建てられたのが、現在の本館です。こちらは見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。
コンクリートの建物なのに屋根は瓦という変わった外観ですが、これは帝冠様式と呼ばれる1930年代に流行した建築様式になっています。ナショナリズムを鼓舞する風潮の中で、銀座和光や名古屋市役所、京都市京セラ美術館といった建築に採用され、モダニズム建築に対する反動的なデザインとされました。
そんな東京国立博物館では現在、近世初期の美術工芸界における指導的立場を取った本阿弥光悦に迫る特別展「本阿弥光悦の大宇宙」や、世界遺産・中尊寺の国宝が一堂に会する、建立900年 特別展「中尊寺金色堂」が開催されています。ぜひ足を運んではいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ次回の「今日の一問・美術編」にも挑戦してくださいね!
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