こんにちは、北海道で暮らし始めて早5年。ライターの西川です。
北海道は都道府県魅力度ランキングで12年連続で1位に選ばれています。5年住んでいても全く飽きないほど、北海道には美味しい食べ物がたくさんあります。
その中でも「ジンギスカン」は北海道ならではの人気グルメです。花見の時期には、ジンパ(ジンギスカンパーティーの略)と呼ばれるイベントが行われることも。ジンギスカンは道民にとって身近な食べ物になっています。
しかし、なぜ羊肉を焼いた料理のことをジンギスカンと呼ぶのでしょうか?
ということで今回の「気になることば」は、「ジンギスカンの名前の由来」をテーマにお送りします。
なぜ「ジンギスカン」と呼ばれるようになったのか
「ジンギスカン」という名前の由来には諸説あります。
なかでも有力視されているのは、東北帝国大学農科大学(現・北海道大学)出身で満州国建国の中心人物・駒井徳三が、モンゴルの英雄「チンギス・ハン」を重ねて名付けた、という説です。
駒井は大学卒業後、南満州鉄道の調査部で中国全土を調査した経歴もあり、中国大陸に深く関わりを持つ人物です。
しかし、なぜチンギス・ハンと羊肉料理が結びついたのかは定かではありません。
ジンギスカンのルーツは、チンギス・ハンの生まれたモンゴルの蒙古民族の料理であると考えられています。モンゴルでは羊の放牧が盛んで、羊肉料理も豊富ですが、「ジンギスカン」という料理はありません。
チンギス・ハンも戦場で羊肉を焼いて食べたという逸話も残っていますが、ジンギスカンという料理自体がチンギス・ハンと直接関係があるわけではないようです。
なぜ北海道のご当地グルメになったのか
北海道では、昭和初期から毛織物のための羊の飼育が盛んに行われていました。種羊場(羊の飼育や研究を行う施設)などが羊肉料理の普及に取り組みましたが、羊肉特有の臭みなどもあってか、当初は広がらなかったようです。
しかし、タレや鍋の改良が進み徐々に羊食が受け入れられるようになります。他の肉類に比べ安く、手軽に入手できることも追い風となり、やがて北海道の郷土料理・観光料理として定着しました。
ジンギスカンは、羊の飼育が盛んだった北海道だからこそ広まった、日本人の味覚に合わせて独自に発展した料理だといえるでしょう。
ジンギスカンの由来を調べるまで、名前のイメージから日本で生まれた料理ではないと思っていました。しかし、日本生まれの料理に日本人が名付けた可能性が高いことがわかり、とても意外でした。
あなたの地元にはどんな郷土料理がありますか。名前の由来や歴史を調べてみると新しい発見があるかもしれません。
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