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こんにちは、服部です。

「急がば回れ」という言葉がありますね。「本当に急ぐときは、下手に近道をするより、遠回りでも確実な道を行くべき」という意味です。

近道を行くべきか遠回りすべきかは、究極的には「時と場合による」という話になると思いますが、この言葉の場合は実際どうだったんでしょうか。

「急がば回れ」の由来

「急がば回れ」は、とある和歌に由来しているとされます。

もののふの 矢橋の舟は 速けれど 急がば回れ 瀬田の長橋

これは、かつて江戸と京都を結んだ五街道の一つ・東海道の途中にある琵琶湖についての歌です。「琵琶湖を渡るのに矢橋から大津へ出る渡し舟は便利。でも、風が強いと遅かったり転覆の危険があるので、遠回りして確実に瀬田の長橋を渡るべき」という具合の意味です。

滋賀県の面積の6分の1を占める琵琶湖。

琵琶湖は大きいですから、危険な航海より陸を行こうという発想は納得できますね。

瀬田の長橋ってどこ?

しかし、琵琶湖はかなり南北に細長い形をしています。どこからどこへ行くのかによって、舟が早いか陸が早いかが変わりかねません。

このことわざの場合はどうだったのか。Google Mapで、草津→瀬田の長橋→大津と通るようにルート検索すると、以下のようになりました。

地図の中央付近にある「矢橋帰帆島公園」の周辺が矢橋という地域で、ここから対岸の大津へ渡し舟が出ていました。この渡し舟に乗るか、南へ廻って瀬田の長橋を渡るか、という選択だったようです。

さて、これを踏まえて先程の琵琶湖全体の地図で「矢橋の渡し」を使った近道を描くと、こうなります。

おや、琵琶湖の大きさに対して、それほど大胆な近道でもないようですね。しかし、この地図では小さく見えても1~2キロの距離があり、また比叡山から吹き下ろす強い風にあおられたりして、昔の舟では危険を伴ったのです。さすがは日本一の湖、スケールが大きいですね。

街道由来のあれこれ

江戸以前は、大名行列などの人々は東京から京都までを10以上もかけて移動しました。その移動に使われた街道からは、多くの慣用句などが生まれています。

物事が長く続くことを「長丁場」と言いますが、これはもともと、街道の宿場と宿場の間が長いことを意味していました。次の宿場まで数時間をかけて歩く長旅ならではの視点ですね。

このほかに、「越すに越されぬ大井川」といわれるような難所・名所が多く生まれ、歌川広重の「東海道五十三次」など他のジャンルの作品も題材としても存在感を見せています。宿場町に行く機会があれば、ぜひその町が街道でどんな役割・位置を担っていたかチェックしてみてください。

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この記事を書いた人

Kosuke Hattori

東大経済学部を卒業しました。各記事が学びと発見への新たな入口になればと思います。よろしくお願いいたします。

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