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「漢検1級甘くみていた」 高校でぶつかった壁

準1級に合格した後、1級へ挑戦されたのはいつ頃でしょう?

高校受験も控えていて、その後しばらくは学校の勉強をしていたと思います。たしか高校2年生くらいのときに、思い出したように1級の勉強し始めました。ただ、当時は1級を甘くみている節があったのか、準1級のときと同じくらいの量の勉強しかしてなくて、2回受けて2回とも落ちましたね。

なるほど。1級の壁は厚いですからね。その後についてはいかがでしょうか?

それなりに漢字は一通り勉強した手応えもあったので「今は漢字の勉強よりも他のことを勉強した方が楽しそう」と考え直して、いったん1級を挑戦するのはやめましたね。

特に大学に入ってクイズを始めると、新しい漢字を覚えるというよりもっと他のいろんなことへの知識欲が湧いていきました。

大学時代 物理学生の山本

物理を志してなお、漢字との縁

大学に入ってクイズを始めたということで、ここからは漢字の話題からいったん離れて、山本さんの大学時代の話を聞きたいです。

早稲田大学の先進理工学部を卒業されていますが、大学ではどのようなことを勉強していたのでしょうか?

大学入って3年間は物理の基礎を積み上げていくという感じでした。4年生になって研究室に配属されてからは、ディープラーニングに関する卒業研究を行っていました。

※ディープラーニング:人工知能分野における技術のひとつ。大量の学習データから特徴の抽出や識別を行う。

具体的にはどのようなものを対象にディープラーニングを用いて研究していたのでしょうか?

「文字の意味に合わせて、文字のフォントを自動的に作成させる」ということをやっていました。例えば、「火」という漢字を入力すると燃えるようなイメージのフォントになるといった感じです。

へー! おもしろいですね。先ほどの漢字の話ともリンクしているようにも思います。

かもしれないです(笑)。僕はもともとエンタメに関わる仕事をしたいと思っていたんですね。その研究室はディープラーニング全般に関わる研究をしていたのですが、エンタメに物理が応用されているという話を聞かせてくれていました。

「物理」と「エンタメ」ですか?

ディズニー映画の『アナと雪の女王』ってあるじゃないですか。あのCGアニメを作成するにあたって、物理シミュレーションを使って雪や氷の描写しているという話を聞いて、おもしろいなと思って。

あのリアルでキレイなアニメーションにそんな秘密が!

自分は研究室で何ができるだろうと考えたときに、結果的に「漢字」や「文字」というテーマにつながったというのはありますね。こんな風に、物理はいろんなものにつながっていたり、土台になっていたりというおもしろさはあると思います。

物理と漢字の共通点 「世界の解像度を上げてくれる!」

「数学や物理」と「漢字」、どちらも学んだ山本さんが考える共通点は何でしょう?

勉強することで世界の解像度が上がるという点はちょっと似ているかなと思います。

「世界の解像度」と言いますと?

さっきの「褶曲」の話がまさにそうで、漢字を見たときにその漢字が使われている意味や理由がわかると、その漢字が表すものごとをより深く理解できることがあります。

斑糲岩(はんれいがん)。「糲」には【くろごめ】=精米していない米、という意味がある。名前から、粒が荒くて黒っぽい見た目の岩石がイメージされませんか?

物理を勉強していても同じことが言えて、例えば「半導体」ってよく耳にするけど、勉強してはじめて「こういう仕組みなんだな」とか発見があって。そういったよく見聞きするけどあんまり知らなかったことに詳しくなると、見える世界の解像度が上がっておもしろくなるというところは似ていると思います。

たしかに。先ほどの「アナ雪」の話も「そんなアニメの見方があるんだ!」と世界が広がった感覚があります。

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この記事を書いた人

永岡 優

ジャンル「オオカミ」で「超逆境クイズバトル!!99人の壁」に出演するなど。神戸大学大学院の修士2回生で、情報系の研究をしています。日常に溢れる教養を楽しい切り口でお届けします。

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