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水・金・地・火・木・土・天・海。私たちの住んでいる太陽系には、8つの惑星が太陽の周りを回っています。

▲みなさんのお気に入りの惑星は何ですか? 私は木星です via Courtesy NASA/JPL-Caltech

ところで、惑星はなぜ「惑う星」という名前なのでしょうか? 「惑う」とは、道や方向がわからなくなることです。言葉通りに捉えると、「惑星」は迷ってウロウロしている星ということになります。

とはいえ、惑星は太陽の周りを規則的に回っていて、とても迷っているようには見えません。それなのに、なぜ「惑う星」という名前になったのでしょうか?

【結論】ウロウロしているように見えるから

惑星を意味する英語“planet”は、ギリシャ語で「さまよう者」を意味する言葉がもとになっています。“planet”という言葉が日本にやってきたときに、「惑星」という呼び名ができました。このように惑星が「さまよう」「惑う」などと呼ばれているのは、ある理由がありました。

それは、惑星は、地球からは本当に変な動きをしているように見えるからです。その証拠に、お隣の惑星である火星は、地球からは下図のように動いて見えます。

▲地球から見た火星の軌道。本当に惑っているように見える…… via Wikimedia Commons Eugene Alvin Villar CC BY-SA 4.0

太陽や星座などでもおなじみの他の星は、東から西に動くように見えます。しかし、惑星は東から西に動いて見えるときと、西から東に動いて見えるときがあります。

このように、地球から見ると惑うような変な動きをしているから、惑星は惑う星と呼ばれています。

なぜウロウロしているように見えるの?

地球からだと、なぜ変な動きをしているように見えるのでしょうか? その答えは、地球と他の惑星では、太陽の周りを公転する速さが異なるからです。

火星を例にして考えてみましょう。地球が太陽を1周するのにかかる時間は約365日です。一方、火星は約1.9倍の約687日をかけて太陽の周りを公転します。

▲1周にかける時間が2倍近く異なる

この差が、あの「変な動き」を生み出しているのです。ここで、(1)地球が火星に「近づく」ときと、(2)火星を「追い越す」ときの2つの状況を考えてみます。

(1)地球が火星に「近づく」とき

▲地球が火星に近づくときの火星の見え方

地球や火星の進む向きを「前方向」とします。地球が火星に近づくときには、地球からは火星も「前方向」に進んでいるように見えます。

(2)地球が火星を「追い越す」とき

ところが、地球は火星よりも公転のスピードが速いため、どこかで火星を追い越します。火星を「追い越す」ときには、地球から火星は「後ろ方向」に進むようにみえます。地球と火星の前後の位置関係が変化するため、地球からは火星が後ろに進んでいるように見えます。

▲地球が火星を追い越すときの火星の見え方

時計の長針が短針を追い抜くときと同じ状況です。周回のスピードが速い長針(地球)からは、遅い短針(火星)は後ろに進んでいるように見えます。

地球が火星を追い越してしばらくすると、また火星は「前方向」に進んでいるように見えるため、惑っているような不思議な動きに見えるのです。

本当に「ウロウロしている惑星」もあった!

▲惑星なのに、恒星をまわっていない! via Courtesy NASA/JPL-Caltech

実際の惑星は、中心となる恒星(太陽など)の周りを規則的に周回しています。しかし宇宙には、惑星ほどの大きさがありつつも、恒星を周回せずに宇宙空間を「漂っている天体」も発見されています。

これらは「自由浮遊惑星(浮遊惑星)」と呼ばれており、最近の研究で、さそり座の上部などに70~170個の浮遊惑星があることが確認されました。浮遊惑星の起源はまだ解明されていませんが、この研究により、恒星のまわりで惑星として形成され、それらが惑星系から飛び出した説が支持されています。私も浮遊惑星のように自由に宇宙を飛び回ってみたいものです。

見る場所によって動きが変わるのはおもしろい

惑星が「惑う星」と呼ばれているのは、地球から見ると本当に惑うような動きをしているからでした。地球から見るのか、宇宙から見るのかによって、このような見え方の違いが生じるのはおもしろいですね。

QuizKnockでは、このような「気になることば」や素朴なギモンについての記事を数多く用意しております。いつも使っている身近な言葉の知らない一面を知るのは楽しいですよ。

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この記事を書いた人

ユウ

東北大学大学院で防災を研究しています。楽しく読んでいたら自然と知識が身につく記事を目指して、私自身も楽しみながら記事を書いていきます。

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