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こんにちは。一人暮らし4年目の千春です。

私は一人暮らし初期の頃、節約のために家計簿をつけていたことがあります(いつの間にか忘れていてやめました)。

節約にもビジネスにも、レシートの管理って大切ですよね。

そんな大切な書類であるレシート。実は先日こんなことがありました。

レシートが真っ黒に!?

シャツにアイロンをかけていた私。胸ポケットの上をアイロンが通過したとき、違和感を覚えました。

▲アイロンをかけると「カサッ」と音が……。

うわあ!! 真っ黒になった紙......? よく見てみると、先日の買い物で貰ったレシートでした。

熱で焦げたんでしょうか? どうしてこんなに真っ黒に?

調べてみるとレシートは「感熱紙」という特殊な紙に印刷されており、 熱で黒く変色するのだそうです。

レシートの管理は大切って言ったばかりなのに! 大事な書類なのに、どうして熱で簡単に読めなくなってしまう紙を使うんでしょう?

感熱紙って何?

レシートだけでなく、FAXやATMから出てくる紙も同じく感熱紙です。そんな毎日目にする感熱紙について、詳しく見てみましょう。

感熱紙の表面には「ロイコ染料」と「顕色剤」という2種類の薬品が塗られています。これらに熱が加わると化学反応が起き、黒い物質に変化するという仕組みなのです。

これらは感熱紙表面ではそれぞれ固体の粒状で存在しているため、粒子同士は触れ合わず、何も反応は起きません。しかし、ここに熱が加わると両者が溶け始めます。液状になることで両者が混ざり合い、化学反応を起こします。そして、その結果できた化合物が黒く発色する、というのが感熱紙の仕組みです。今回はアイロンの高熱で一気に化学反応が進んでしまったんですね。

ちなみに反応によってできた黒い化合物は非常に壊れやすいので、簡単に白く戻すことができてしまいます。

反応によってできた化合物は油分やアルコール、アルカリ性などに弱い性質があります。試しにアルコールが多く含まれ、かつ弱アルカリ性であるスティックのりをレシートに塗ってみると、いとも簡単に真っ白になってしまいました。のりにはちゃんと「レシート・ファックスには使用しないでください」と書いてありますね。

また、油分が多いハンドクリームなどもレシートの文字を消してしまうことがあります。乾燥する時期なのでハンドクリームを使う方も多いと思いますが、レシートを管理するときは注意しましょう。

▲研究室から借りてきたpH試験紙で実験してみると、スティックのりはpH7~8程度の弱アルカリ性だということがわかりました。

なぜ感熱紙を使うの?

感熱紙の仕組みはわかりましたが、どうしてレシートに感熱紙を使うのでしょう?

感熱紙の最大の売りは何と言っても熱で変色すること。そう、印刷するのにインクがいらないんです。そしてコピー用紙などと異なりロール式の紙を使うので、場所を取らないというメリットもあります。

インクがいらないとなると、消耗品は紙だけ。インク交換も必要ありません。確かに、レジやATMで頻繁にインク交換が必要だったら大変ですよね。

消耗品が少なくてエコ、そしてインク交換の手間も省けるなんて。一石二鳥の感熱紙! 

感熱紙って画期的!

化学反応を使ってエコ&楽に印刷できる感熱紙、なんて画期的! 身近なレシートを掘り下げたら、化学の恩恵を感じることができました。

しかし経年劣化等で色が薄くなったり、紛失などの恐れもあります。本当に大切なレシートはスキャンするなどして保管しましょう。

▲レシートをポケットに入れるのは得策ではありません。

そしてみなさんもシャツにアイロンをかける際には、ポケットの中のチェックを忘れずに!

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この記事を書いた人

千春

東北大学大学院で化学を専攻しています。読書や料理が好き。 「日常的なことを化学的に」をモットーに、毎日がちょっとだけ楽しくなるような記事をお届けします!

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