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はじめまして。森です。QuizKnockではディレクターとして動画の企画作成やクイズの作問を担当しています。

2014年に放送された「第34回全国高等学校クイズ選手権」(以下、高校生クイズ)。当時、京都府立洛北高校の2年生だったわたしは、その全国大会で優勝することができました。

今回はその全国優勝の足掛かりとなった思い出のクイズについてお話しします。


さっそくですが、わたしの思い出のクイズを実際に読まれたところまでご紹介しましょう。

小説で、ある朝/

さて、答えがわかるでしょうか。

ボタンを押すのが早すぎる?

その気持ちはよーくわかるんですが、こうまでしないといけない事情があったんです。

勝てばアメリカ、負ければ帰宅

2014年の「高校生クイズ」は、いわゆる「アメリカ横断」路線の最初の年でした。

「アメリカ横断」路線では、地方予選を勝ち抜いた高校生たちが、アメリカの広大なロケーションを舞台にクイズに挑戦していきます。

全国大会には、地方予選を勝ち抜いた2人1組60校、計120名の高校生が参加するのですが、この60チーム全てがアメリカへ行けるわけではありません。

アメリカへ旅立つことができるのは、東京のスタジオで行われる全国大会1回戦を突破したわずか16チームのみ。負けてしまった44チームはその場で帰宅となってしまいます。

もちろん地方の高校生にとっては、タダで東京へ行けるだけでも非常に嬉しい思い出です。

しかし、1回戦を突破できればアメリカ(そのときの2回戦の会場はハワイでした)まで行けるわけで、この1回戦を突破できるかどうかは高校生たちにとって字面以上の意味を持っていました。

120人一斉早押し!?

アメリカを目指して近畿予選に挑み、なんとか全国大会への切符を手にしたわたしは、京都から東京のスタジオまでやってきました。

そんな大事な全国1回戦の内容は……

「60校一斉早押し&通せんぼクイズ」

60校120人で一斉に早押しクイズをして、正解したチームはハワイ行きをかけた「通過席」に移動。

残りの高校の中からランダムで選ばれた6チームと早押しクイズをして、正解できればハワイ行きというルールです。

わたしは中学生の頃から競技クイズに触れており、早押しクイズにはかなり自信がありました。だからルールを聞いたときは、少なくとも早押しクイズ未経験の人には負けないだろうと、高をくくっていました。

しかし、実際にクイズが始まってみると、思うようにボタンが点きません。

考えてみればすぐにわかることですが、一般的な早押しクイズの人数は多くても15人くらいが限界です。

一方今回は120人一斉早押し。単純計算でもボタンの点きづらさは8倍です。

普段から10人以上で練習できる、規模の大きなクイズ研究会に所属しているチームはうまく適応してハワイ行きを決めていきます。一方、3〜4人で練習せざるをえなかったわたしは苦戦を強いられる結果となりました。

ここで勝負するしかない

慣れない環境での早押しに適応することができず、ついに残る勝ち抜け枠は3つ

そろそろ本当に後がない。

ここでラッキーなことに、言葉の由来から「しがらみ」を問う問題に正解することができました。

ついに通過席に立つことに成功します。

ここで勝負するしかない――。

自分が勝ち抜けるには、次の1問を最速のタイミングで押すしかない。

憧れの舞台で、高校生クイズでまだ戦っていたい。

全神経を研ぎ澄まして臨んだ問題が、冒頭の問題です。

「小説で、」

作品名を答えればいい。得意というわけではないが、苦手でもないジャンルだからいくべき。読点の次に重要情報が来る。数文字聞いて無理じゃなかったら押す。

「小説で、ある」

書き出し? 『羅生門』? 『蜘蛛の糸』? 『杜子春』? (注:それぞれ、「ある日の暮方の事である。」「ある日の事でございます。」「或春の日暮です。」で始まる)ちゃんと覚えてるかというと微妙だけどいけるはず、いく!

「小説で、ある朝/」

やばっっ!! 朝!? 『羅生門』でも『蜘蛛の糸』でも『杜子春』でもなくないか? 「ある朝」で書き出す作品知ってる? 知らない。何答える? 絶対書き出しじゃない。だとすればあらすじの説明? あらすじを説明するとき「ある朝」から始まる作品は……

「変身!」

\ピンポンピンポン/

勝った! ハワイ行き! まだ高校生クイズができる!

その後

こうしてわたしは高校生クイズの全国1回戦を勝ち抜くことができました。

この後、ハワイ、ハリウッド、テキサスと勝ち抜いて、終着地のニューヨークで全国優勝を達成したのですが、わたしの中でひとつ大きなポイントだったのが、全国1回戦を勝ち抜いたこの1問でした。

▲決勝のときの様子(画像提供:日本テレビ)

今年も無事「高校生クイズ」が開催されるということで、わたしも今から楽しみです。

母校の洛北高校が今年も全国大会に勝ち進んでいるので、放送日はテレビの前で精一杯応援しようと思います。

サムネイル使用画像:日本テレビ提供

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