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こんにちは、直路です。

今年(2023年)3月に開催されたEQIDENエキデン2023というクイズ大会で、僕が所属する東北大学が初めて学生クイズサークル日本一の座に輝きました!

▲後列左から2番目が筆者(写真提供:abc/EQIDEN実行委員会)

東京大や京都大など優勝争いの常連チームを抑えて、僕たちが初優勝を果たせたのは、メンバーそれぞれが「自分の武器」を存分に発揮できたからだと思っています。今回は、僕が自分の武器を使ってEQIDENで掴んだ正解を「思い出のクイズ」として紹介します。

クイズの「団体戦」のおもしろさ

EQIDENエキデン」は、学生サークルを対象に例年3月に行われる、日本最大規模の競技クイズ大会です。5~10人のチームを組んで出場し、早押しクイズに正解すると次のメンバーに交代するルールで、駅伝競走のように正解のたすきをつないで優勝を目指します。

同日開催される個人戦の大会「abc」とともに、多くの学生プレイヤーが目標としている大会です。

▲当日の様子。右が筆者(写真提供:abc/EQIDEN実行委員会)

僕はクイズなら何でも楽しいので個人戦も当然好きなんですが、団体戦には個人戦にはない魅力があります。一言で言うなら「夢がある」ことです。

それぞれの「強み」の足し算でつかむ勝利

クイズの個人戦で勝つためには、その場で出題される様々なジャンルの問題で正解し続けること、いわば「オールマイティに強い」ことが重視されます。対して、多くの団体戦では1人あたり1〜2問の正解で次の解答者に交代します。

このため、苦手な分野があったとしても、たった1問だけ、周りより早くわかる「オンリーワンの正解」を重ねることが重要になります。つまり、個々の力では歯が立たない相手でも、団体戦なら勝てるチャンスがあるのです。チーム戦がもたらすこのジャイアントキリングはたまりません。

喜びも応援も、何倍にも増幅される

団体戦では、チームメンバーは解答席の背後で自分の出番を待ちます。個人戦ではライバルであるメンバーの背中に感じる頼もしさ、正解やスーパープレイを自分ごととして喜べる楽しさも団体戦ならではです。

普段は観客席からしか聞こえない拍手も応援も、自分の後ろから聞こえるなら何よりも心強いものになります。「チームスポーツ」の側面が強くなる団体戦は、メンバーの数だけ感動が大きくなります。

▲メンバーを見守る筆者(写真提供:abc/EQIDEN実行委員会)

「今年の東北大は強い」 対策を練った問題文

今年の東北大チームは強いメンバーが揃い、「東北大が勝つ」と意気込んで、勝つためのチーム編成・戦略を練っていました。3月が近づくとサークル内でabc/EQIDENを見据えた対策企画が次々と行われ、「本気」の雰囲気が日に日に増していました。

▲東北大チーム(写真提供:abc/EQIDEN実行委員会)

僕にとって、初挑戦の高校時代から数えてabc/EQIDENもかれこれ6回目。「今年はいい成績を残すぞ」とクイズに打ち込みました。

そんな直前の対策中、僕は「とある問題文」について研究していました。「問題文の研究」とは、ある問題文を見て「この単語が聞こえたら、あとの問題文は意味・文法的にこう繋がるはずだ」と可能性を絞り、自分の脳に「このタイミングでボタンを押す」と刻む過程です。無駄のない問題文が多いabc/EQIDENでは、このような対策が有効になってきます。

研究していたのは、近年ニュースなどでもよく聞く「ガラスの天井」と、昨年の流行語大賞にノミネートされた「OBN」にまつわる問題文です。

ガラスの天井:十分に素質や実績がある人が、人種や性別を理由に昇進を阻まれている状態のこと。「見えない障壁」であることから名付けられた。特に女性の能力開発や昇進を妨げる要因として挙げられている。

OBN:オールド・ボーイズ・ネットワークの略。男性中心の組織が作り上げてきた人間関係や文化を指す。女性の活躍を阻害するものとして、近年取り上げられる機会が増えている。

世間の関心が高まっている事柄はクイズの題材になりやすい一方、いずれも「女性のキャリアアップを阻むもの」という点で問題文の表現が似てくるため、判別が難しくなることが想定されます。サークル内の企画の早押しで「OBN」を「ガラスの天井」と間違えたことをきっかけに、ずっと「どこでボタンを押すのが正解なんだろう」とひっかかっていました。

たとえば、「女性のキャリアを阻(はば)/」という段階でボタンを押してしまうと、「阻む、見えない障壁のことを~」(ガラスの天井)とも、「阻む、男性中心の組織のことを~」(OBN)とも続く可能性が考えられ、危険な賭けになります。

熟考の末に「『女性』『キャリア』が聞こえたら、その次の1文字を聞けるようにボタンを押そう」ということを頭にたたき込みました。

この思考が、当日に生きることになります。

団体戦決勝、後輩の心強い言葉

そして大会当日がやってきました。予選はメンバーそれぞれの強みを発揮して難なく突破。2年ぶりの本戦に進むことになりました。

本戦の往路(前半戦)は12チームが同時に参加し、先着4チームが復路(後半戦)に進めるルールです。この前半に主力を置くチームが多いため、厳しい戦いとなります。僕の担当は第1区(1人目の解答者)。大舞台へのたかぶりとともに、チームを背負って先陣を切る緊張も重く感じていました。

▲写真提供:abc/EQIDEN実行委員会

そして始まる往路。ノルマは1問の正解ですが、他のチームの果敢な攻めにボタンが点かず。このままでは……そう焦ってボタンを押しますが痛恨の誤答をしてしまいます。誤答はチーム合計4回で失格となります。頭の中が真っ白になりかけました。

そのとき、後ろに控えた後輩に肩を叩かれました。「先輩は強いです。いつも通りのクイズをしましょう」。その応援で、現実に引き戻されます。たった一問、「オンリーワン」があればーー。

そして、それは来ました。

「問題。キャリアアップを目指す女性ーー」

キャリアアップ、女性。数日前の記憶は全く頭にありませんでしたが、「ここで押すのが一番気持ちいい」気がして反射的にボタンを押していました。

「ーーが/ちょ」

「ちょ=直面」。それならば、と一呼吸置き、確信に変わった答えを口にします。

ガラスの天井!

正解の音が鳴る。立ち上がり、後輩へバトンをつないだとき、「完璧に決めたオンリーワン」に自然と笑みがこぼれていました。

自分の正解を皮切りに、東北大学はどんどん追い上げて往路を走破。それぞれのオンリーワンで正解を重ね、勢いそのままに優勝しました。

▲優勝の瞬間(写真提供:abc/EQIDEN実行委員会)

ステージの上の戦いに憧れるだけだった高校時代と、客席から悔しく眺めていた大学の2年間。チームの、自分の今までの努力が報われたことに、思わず抱きあっていました。

歴史に残る快挙、初優勝。いくら声出し解禁とはいえ叫びすぎたな、ということだけが確かな記憶として残っています。誰一人欠けてもなしえなかった、夢のような勝利でした。

▲写真提供:abc/EQIDEN実行委員会


これを読んでくださったあなたが、少しでも団体戦のクイズに興味を持っていただければうれしいです。あなたの「これだけはわかるけど……」が優勝への一手になるかもしれません。

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この記事を書いた人

直路

東北大学経済学部4年の直路(なおみち)です。クイズとゲーム、インターネット大好き。明日の朝の話題にしたくなるような記事を届けていきたいです。よろしくお願いします!

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