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どうも、80億人に1人の奇跡、山森です。

先日、J-POPに登場する「〇億人」の歌詞と、実際の世界人口の関係についての記事を公開しましたが、もう読んでいただけましたでしょうか。

▼J-POPの歌詞に登場する「世界人口」を分析してみた

この記事を執筆する際に、歌詞に「億」を含む楽曲を検索したところ、約2000件ヒットしました。なかには、世界人口を指していない「億」も多くあったのですが、さまざまな発見がありました。まずはこちらの歌詞をご覧ください。

神様に与えられたであろう 25億秒 それをどれくらい君の為に使えるだろう?▲HERO『25億秒の使い方。』(作詞:尽)

人間の一生は25億秒で、その時間をどのくらい君に使えるかを歌っているのですが、その前に……。

なるほど、人生ってだいたい25億秒なんだ。

実際に計算してみましょう。2,500,000,000秒÷365日÷24時間÷60分÷60秒=79.2年。人生をおおよそ80年と考えると、たしかに25億秒ですね。

J-POPから学べる「数字」がある

ちなみに、『25億秒の使い方。』の歌詞はこのように続きます。

僕に残されている時間は 多分18億秒くらいだから 君に出会う前の7億秒は無駄だったって▲HERO『25億秒の使い方。』(作詞:尽)

7億秒は、約22年。これまでの人生を秒に換算して考えたことがありませんでしたが、こんなに莫大な秒数を消費していたと思うと、これまでの時間を尊く感じますね。

ここであることを思い出しました。

子どもの頃に聞いた。1日って86,400秒だ……!

筆者は中学生の頃から、しょこたん(中川翔子さん)が大好きなのですが、『Brand-new day』という楽曲にこのような歌詞があります。

ほら Good day Good day Brand-new day 踏み切って知って Yesterday 86,400秒の繰り返し▲中川翔子『Brand-new day』(作詞:Alice ise)

86,400秒とは、1日の秒数。60秒×60分×24時間=86,400秒ですね。この曲を聴くまでは、1日の秒数を意識したことがありませんでした。

このように、曲の歌詞から学べる数字はたくさんあります。前回調査した、「億」を含むJ-POPの歌詞にもそんな数字があったので紹介していきます。

「億」の世界は意外と身近にあふれています。Here we go!

約5億回:生涯のまばたきの数

ねえ知ってるかい 人は死ぬまでに 五億回の瞬きを してるんだって▲APOGEE『五億回の瞬き』(作詞:大城嘉彦)

なんともストレートに数を教えてくれました。

人はまばたきを1分間に約20回しています。毎日8時間睡眠、1日16時間起きていると仮定すると、1日あたり約1.9万回。1日だけでも結構多く感じますね。

このペースでまばたきをすると、約70年で累計5億回に到達します。

集中するとまばたきを忘れがちなのですが、意識すると逆にまばたきをしすぎます。そうして5億回に到達していくのでしょうか……。

約5億回:生涯の呼吸の数

一生で約5億回 限りあるこの胸の呼吸 一息たりとも無駄にしてたまるか▲竹原ピストル『ちぇっく!』(作詞:竹原ピストル)

呼吸の数、まばたきと同じくらいのようです。

個人によって差異はありますが、『理科年表 2022』(国立天文台編)によると、ヒトの呼吸数は男性で1分あたり10.1〜13.1回、女性で1分あたり10.4〜13.0回とされています。ざっくり1分あたり12回として計算してみましょう。

12回×60分×24時間×365日×80年=504,576,000回となり、約80年で5億回に達することがわかります。

▲深呼吸も大事な5億分の1

ちなみに、呼吸についてはこんな歌詞も見つけました。

7億の呼吸達を吐き終える前に今▲こゑだ『ふたりで』(作詞:こゑだ)

2億多いですね。先ほどのペースで呼吸していたら、7億回に到達するまでに110年かかります。もしくは、80年の人生のなかで1分あたり17回呼吸をするとこの数字になります。この呼吸ペースは、オスのニワトリと同じくらいです。ちなみにメスのニワトリは1分あたり27回ともうちょっと早い。

▲ニワトリは雌雄で呼吸数が結構違うんだね

『理科年表』にはほかにもさまざまな動物の呼吸数が載っています。このページを使う日が来るとは思いませんでした……。

約20億回:生涯の心拍数

生まれてから死ぬまで 人は 20億回の鼓動を打つ▲超特急『Billion Beats』(作詞:MEG.ME)

ヒトの心拍数は男性で1分あたり64回、女性で1分あたり69回とされています。ざっくり65回とすると、1日あたりの心拍数は約9.3万回
※『理科年表 2022』(国立天文台編)より

このペースで鼓動を打つと、20億回に到達するのは59歳のとき。これまでの寿命より少し短いですね。80歳まで生きるとすると、心拍数は約27億回に達します。

ちなみに、この『Billion Beats』には世界人口も描かれています。前回の記事では「J-POPが世界人口を使って何を歌っているのか」を調べましたが、この楽曲はお手本のような「出会えた奇跡」を歌っています! (詳しくは前回の記事をご覧ください)

70億から 君に出会えたこの偶然は 僕にとってきっと 一番素敵な奇跡なんだよ▲超特急『Billion Beats』(作詞:MEG.ME)

とっても素敵な曲でわたしも大好きです。超特急の最新曲『宇宙ドライブ』もかっこいいのでぜひ聴いてくださいね!(宣伝)

生涯の心拍数がだいたい20〜30億回ということがわかったところですが、調査の過程で布袋寅泰さんの『TiC TaC』という楽曲に出会いました。その歌詞がこちら。

▲布袋寅泰『TiC TaC』(作詞:Tomoyasu Hotei)

Baby Baby Baby Baby Baby Baby Baby
桁がおひとつ 足りてないのさ〜

※これは『スリル』。

心拍数2億回では6年も生きられません。

心拍数が生涯で2億回ほどの生物を調べてみると、ウシやフナなどがだいたいこれくらいでした。

▲J-POPについて調べていたのに動物の生態にもどんどん詳しくなっていく

約37兆2,000億個:ヒトの細胞の数

▲大塚紗英『37兆2000億個の細胞全てが叫んでる』(作詞:大塚紗英)

最後は体内に関するめちゃでか数字です。ヒトの細胞の数は約37兆2,000億もあるそう。人間の髪の毛が約10万本なので、体内の細胞は桁が全然違いますね

この数字を使って表現しているのは、絶望から這い上がる強い想い。大きな数を使うことで、想いをより強調していると考えられます。

ちなみに、細胞1個の大きさを0.01mmとして、37兆個を一列に並べると地球を約9周分になります。体の中にそんなに細胞があるとは驚きです!

歌詞が教えてくれる人体の数字

世界人口をきっかけにJ-POPの歌詞を調べていたら、驚きや意外な発見がありました。特にわたしたちの生活や生態にはこんなにも「億」の数字があるということも。

目に見えない時間や意識していない生理現象も、具体的な数字で表現することによって、より貴重に感じられるのではないでしょうか。何を伝えるためにどんな数字を選ぶか、歌詞というのはアーティストや作家の個性が光る場所だなと感じました。

筆者の好きなミュージカル『RENT』の楽曲に、このような歌詞があります。

Five hundred twenty five thousand six hundred minutes 五十二万五千六百のこのときを Five hundred twenty five thousand six hundred minutes どう数える 1年を▲ミュージカル『RENT』より『Seasons of Love』(作詞:Jonathan Larson、訳詞:吉元由美)

1年は525,600分。こう置き換えると、たった1分が貴重な1分に感じませんか? 表現の仕方を変えることで、物事の捉え方も変わって見えることを実感しますね。

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この記事を書いた人

山森 彩加

東京理科大学卒業生の山森です。在学時は天文研究部でプラネタリウム解説をしていました。三鷹の国立天文台で展示解説をしたり、科学館で解説をしたりもしました。日常のなかに“楽しい”や“おもしろい”を見つけられるような何かを発信していければと思います。学士(理学)。

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