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こんにちは、ソフロレリアです。

QuizKnockインタビューシリーズ、今回はQuizKnockのCEO・伊沢拓司に語ってもらいました。題材はド直球に「クイズ」

クイズ界には「アマチュアクイズ」という世界があります。伊沢さんは中学生のときにアマチュアクイズを始めてもう14年。トップクラスの実力者として走り続けてきました。しかも近年はテレビのクイズ番組でも言わばプロとして活躍している、クイズ界の陽の当たる部分と日陰の部分、両方を知った人物です。

今日は普段なかなか目にすることのない、伊沢さんがオフで楽しむアマチュアクイズのアレコレについてたっぷりと話を聴いてきました。

聞き手:高橋太郎(ライターネーム:ソフロレリア 以下、高橋)

伊沢が中学2年生に上がった頃、高校入学と同時にクイズ研究会に入り、アマチュアクイズの世界に。当時から各種クイズ大会で活躍する伊沢を、時に観客席から、時に同じ舞台上から見てきた。

目次

そもそも「アマチュアクイズ」って何?

特徴は「手作り感」と「ギブアンドテイク」

まず「アマチュアクイズ」という言葉について、聞きなれない方も多いと思うので説明をしておきましょうか。

「金銭的対価報酬を得ることなく行われているクイズ活動」全般を指す言葉です。

大きな特徴は「手作り感」や「ギブアンドテイク」を前提に成り立っていること。それをベースにしたクイズ活動全般ということになるかなと。僕はそこにずっと従事してきて、いまだにクイズサークル等で活動もしています。そういうわけでアマチュアクイズ出身だという点には、明確にアイデンティティを持っていますね。

今お話にあった「ギブアンドテイク」というのはどういう意味でしょう。

クイズというものは湧いて出てくるものではないので、誰かが問題を作り、作っていない人が解答者になる、という構図が生まれます。これがクイズのギブアンドテイクです。たとえば将棋や囲碁、サッカーや野球というのは基本的に2チーム集まればできるわけです。用具さえあればいいし、用具を作った人がゲームに参加したって基本的にはいいわけですからね。

一方クイズというのは、問題を作った人がプレーに参加する、ということができません。答え知ってるから。なんなら読み上げる人が必要で、その人も参加できない。そんな感じだと、やっぱり出すだけじゃなくて答える側もやりたいということになるので、役割を交代しながらみんなでやるわけです。これこそがクイズの持つギブアンドテイクという特徴、他の遊びとの大きな違いだと思います。

それが「手作り感」にもつながるというわけですね。

そうです。それでいくとボルダリングと似てるんですけど。

え、ボルダリングですか?

ボルダリングって競技会とかになると、新しい、初見の壁が必要になってくるので、突起物の位置決めなどをして課題を作る人が必要になるんですよ。しかもその壁って得意不得意があるので公平不公平が絡んでしまうんです。

もちろん、競技を引退した人とかが作っているという点では、現役バリバリのプレーヤーが作り手側に容易に回るクイズとの違いもありますけど。

ある競技者が得意とする壁の作り方をしてしまうと、クイズで言うところの「差し込み(※誰かを意図的に利するために用意した問題)」のようになると。

まさにそのとおりです。だから第三者による公平性が求められる、その構造が似てますね。

「自分が出たいから自分が作る」という精神

アマチュアクイズのひとつの特徴として、有志による大会が開かれるというのが大きいと考えています。これってそもそもどういうものなのでしょうか。

いわゆるオープン大会と呼ばれるものですよね。クイズをやっている複数人が団結して主催し、主催じゃない人たちが自由参加……というのがクイズの大会です。すごく特殊なシステムなんですが、「一心精進」という個人が運営していたサイトがあって、今は運営委員会になってますけど、「一心精進」には全国で行われるクイズ大会の情報が集約されていて、ここに載っている大会をオープン大会としているわけです。誰が定めた定義でもないんですけど、なんとなく。

オープン大会は基本的に規定の中で来るもの拒まずという形を取っているのと、勝つことが名誉・権威であると認識されている点が特徴ですね。規定というのは年齢による区分だったりクイズ経験年数による区分だったりです。

やっぱりこれもギブアンドテイクの精神に則ったものですよね。

そうですね。大学主催のオープンが80年代後半から90年代に行われるんですけど、当時のインタビューを読むと、みんな「テレビからの独立」みたいなものをオープン大会を開催するモチベーションとして多少なりとも意識されていて。「テレビではできないことを我々のできる範囲、もしくはテレビを超えた我々の創意でもってやろう」とか。

その流れは93年、クイズ史的に見れば、大きな影響力を持っていた「ウルトラクイズ」が終了した翌年に一気に加速して、いわゆるオープン元年と呼ばれる形になりました。テレビの代替物という感覚も、テレビを超えようという感覚もあったように思います。

動機がプラスであろうとマイナスであろうと、少なくともクリエイティビティというか、自分たちがやりたいものを自分たちで作るという志は確実に根っこの部分にある。それがオープン大会ですね。ギブアンドテイク文化もこうした中で強化されていくわけです。

ギブアンドテイクのギブが先にあったというわけですね。

「こんなものをギブしたい」という思いの背景には、実は「こんなものをテイクしたい」「こんな大会に参加したいけど誰もやらないから自分でやろう」というニーズもある。自分が出たいから、まず作っちゃおうと。もちろんそれが続くのかという課題もあるけど、スピリットとしてナイスですよね。特に最近ジャンル限定の大会とか増えてきて。「第2回はぜひ、他の人が主催で」みたいなのをみんな無限にやってるんですよね。

まずはそこで作ろうという情熱がすごいし、かっこいい世界だぜ、というのは自信を持って言えます

この間の「10人の壁」も僕は自分がやりたかった「日向坂46」のクイズを、普段は自分で作ってるけどせっかくだから作ってもらったという形でした(笑)。

「ジャンル:日向坂46」の問題を作ってもらった高橋

「自分が出たいから自分が作る」みたいなのは昔からあって、それこそ日本クイズクラブという1951年ぐらいにできた日本最初のクイズサークルは作る専門だったんですよね。昔のラジオのクイズ番組では、視聴者が問題を作って芸能人に解かせるというのがメインだったので、「より面白い問題を作れるんじゃないか」みたいなことを思った人たちが、文通的につながって日本クイズクラブというのができた。

クイズは初期には作るものだったんだというのは、ギブアンドテイクのギブが先に来るという構造を端的に表している要素かな……とも思ったり。正確に結びつくかは検証が難しいけど、パラレルな構造ですよね。そもそも。こんなことを研究している人はあんまりいないんですが(笑)。

次ページ:伊沢拓司がクイズにハマった理由に迫る!

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この記事を書いた人

ソフロレリア

高橋太郎の名でも活動中。博士(農学)。植物の研究をしています。ポケットモンスターと乃木坂46とウイスキーが好きです。

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