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前ページ:クイズを解きたい方はこちらから! 以下は問題の答えと解説です

クイズの解説

Q.1:その上あたりは墓の中のようにしんと静まり返って、たまに聞えるものと云っては、ただ罪人がつくかすかな嘆息ばかりでございます。

この一文が登場するのは、芥川龍之介の代表『蜘蛛くもの糸』です。地獄が舞台の一つになっている作品ということで、「罪人」などのワードから推測できる問題でした。

こちらの場面では、主人公の大泥棒・カンダタが落ちた地獄の様子が描写されています。しんと静まり返った暗闇の中、「血の池」「針の山」といったいかにも恐ろしげな地獄の景色が登場します。

▲シーンとした雰囲気が絶妙に怖い

もう一つの選択肢『舞姫まいひめ』は、ドイツに留学した若い官僚と貧しい踊り子の悲恋を描いた森鴎外の作品です。「石炭をばや積み果てつ。」という冒頭の一文が有名で、『蜘蛛の糸』に比べ現代の人々には馴染みのない文体が特徴なので、作品の雰囲気を知っている方はここから予想できたかもしれませんね。

Q.2:「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」

こちらは、宮沢賢治の童話銀河鉄道の夜に登場する一文でした。『銀河鉄道の夜』は、2人の少年・ジョバンニカムパネルラが不思議な列車に乗って旅をする物語。「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」というのは、他の乗客が降りてカムパネルラと2人きりになったとき、ジョバンニが言った言葉です。

『銀河鉄道の夜』では、実在する星座の数々が美しい描写とともに登場します。この言葉の前には、

「僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺんいてもかまわない。」

というジョバンニのセリフもあります。

▲「さそり」はさそり座のこと。心臓部分には真っ赤な星のアンタレスが輝く

もう一つの選択肢は、太宰治の代表作人間失格でした。周囲に馴染めない男が破滅していく様子を、本人の手記という形でつづっています。

Q.3:「今でも別におまえのことを怒ってはいないんだ。」

この一文が登場するのは、井伏鱒二いぶせますじの小説山椒魚さんしょううおです。体が大きくなったせいですみかの岩穴から出られなくなった山椒魚は、穴に迷い込んできたカエルをわざと中に閉じ込めてしまいます。今回取り上げたセリフは、空腹で弱ったカエルが物語の最後に山椒魚と言葉を交わす場面で放ったものです。

ちなみに井伏鱒二はこの小説を何度か書き換えており、この最後の場面を丸ごと削除してしまったこともあるそうです。山椒魚とカエルがいがみあったまま終わるというのもなんとなくモヤモヤしそうですが、作者ならではのこだわりがあったのかもしれませんね。

もう一つの選択肢は、中島敦なかじまあつしの代表作山月記。自尊心ゆえに苦悩し、虎になってしまった主人公・李徴りちょうの切ない告白が印象的です。

Q.4:早速起き上って、毛布けっとをぱっと後ろへほうると、蒲団の中から、バッタが五六十飛び出した。

こちらは、夏目漱石の代表作坊っちゃんの一場面。教師として田舎の中学校に赴任した坊っちゃんは、生徒たちからさまざまなイタズラを仕掛けられます。布団の中に大量の虫を入れるとは、なんとも手荒ですね……。

作中には、坊っちゃんが温泉の帰りに団子を食べ、翌日そのことを黒板に書かれてしまうというエピソードも登場します。「温泉」というのは、愛媛県松山市にある道後温泉のこと。松山市ではこの話にちなんだ「坊っちゃんだんご」という銘菓も売られています。

▲お土産として人気の「坊っちゃんだんご」(手前。奥は「マドンナだんご」)

もう一つの選択肢野菊の墓は、小説家・伊藤左千夫いとうさちおの代表作です。いとこの関係にある政夫民子の、悲しい恋のゆくえが描かれます。

Q.5:「天までとどけ、一、二、三。」

最後は、中川なかがわ李枝子りえこ作の『くじらぐも』に登場する一文でした。小学校の国語の教科書に掲載されているお話なので、学校で習ったという人も多いのではないでしょうか。

子どもたちが運動場で体操をしていると、大きな「くじらぐも」が空に現れます。子どもたちがこの「くじらぐも」に飛び乗ろうとする場面で叫ぶのが、「天までとどけ、一、二、三。」という言葉です。

もう一つの選択肢『白いぼうし』あまんきみこ作の物語で、こちらも小学校の国語の教科書に載っています。タクシー運転手の松井さんが体験した、ちょっぴり不思議で心温まるお話を描いています。


最後まで解説を読んでいただき、ありがとうございます。次回の「二択でGO」もお楽しみに!

【前回の二択でGOはこちら】

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この記事を書いた人

木村 真実子

東京大学4年生の木村です。生物素材化学について勉強しながら、作問したり早押ししたりしてクイズを楽しんでいます。好きなものはJ-POP・広島東洋カープ・フクロウなど。身の回りを見渡すのが少し楽しくなるような記事を目指します。よろしくお願いします。

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