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解説

今回はクイズごとではなく、まとめて解説を書かせていただきます。

個人的には早速サティの解説に入りたいところですが、その前に少しばかり『ギャグマンガ日和』のお話を。

『ギャグマンガ日和』は、ジャンプ系で連載されていたタイトル通りのギャグ漫画で、2000年代から2010年代前半ごろにかけて漫画・アニメともに流行しました。現在は『ジャンプスクエア』でシリーズ最新作の『ギャグマンガ日和GB』が連載中です。ストーリーでは歴史上の偉人、例えば聖徳太子や小野妹子などが「キャラクター」として登場し、さまざまな騒動を巻き起こします。

単行本サブタイトルに含まれる「訳あり行進曲」「屋根裏部屋のフランス人形」をクイズとして出題しましたが、実際に7巻の「屋根裏部屋のフランス人形の巻」を読んでみたところ、このタイトルはストーリーとは全く関係ありませんでした。が、関係ないタイトルとして上記の言葉を選ぶのは、才能というほかないと個人的には思います。

さて、それではサティの解説にまいりましょう。

▲エリック・サティ

エリック・サティは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した、フランスの作曲家です。

その奇抜なスタイルから「音楽界の異端児」などと呼ばれることもありますが、一方で西洋音楽の伝統に新しい風を吹き込んだ革新者とも評価されていて、同時代を生きた作曲家のドビュッシーやラヴェルは、多くの作曲技法をサティに学んだと公言しています。

クイズに登場した曲はそれぞれ、『犬の前奏曲』と『カリフォルニアの伝説』はピアノ作品、『右や左に見えるもの〜眼鏡なしで』はヴァイオリンとピアノのための作品です。

『右や左に見えるもの〜眼鏡なしで』は短い3曲で構成されており、それぞれの曲にも『偽善的なコラール』、『手探りのフーガ』、『たくましい幻想曲』と、これまた奇抜なタイトルが付けられています。

そんな『右や左に見えるもの〜眼鏡なしで』を、実際に演奏している様子がこちら。

「こんなタイトルをつけるなんて、どんなおかしな曲なのだろう」と思って聴いた方は、拍子抜けされたのではないでしょうか。

サティはタイトルこそ奇抜ですが、音楽自体は意外にも親しみやすい曲調です。このギャップもまた面白い部分で、サティがやりたかったことはただ「奇妙な曲を作る」ということではない、というのがこの曲調からわかりますよね。

彼が奇抜なタイトルを付け続けたのは、当時の音楽の聴き方音楽に対する人々の向き合い方に対して彼なりのスタイルで一石を投じたかったからなのでしょう。

サティのタイトルとギャップのある曲調は、冒頭でお話ししたギャグマンガ日和の「本編と関係のないサブタイトルをつける」という部分とどこか共通しているように見えますし、案外本質的なところも似ているのかもしれませんね。


タイトルに惹かれて曲を聴いてみたり本を読んでみたりした経験、誰しもあるのではないでしょうか?

来週の「二択でGO」も、ぜひ解いてみてくださいね。

【前回の二択でGOはこちら】

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この記事を書いた人

はぶき りさ

東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学別科オルガン専修を経て、同大学音楽学部器楽科オルガン専攻3年。世界で何千年も生き続けている「音楽」という文化に、少しでも興味を持ってもらえるような記事を書けたらと思います。よろしくお願いします。

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