アマチュアクイズ歴は10年目。どうも、ライターのシムラです。
「存分に自分語りをしてください」というような連載が回ってきましたので、まずは自己紹介から。
現在、大学院の修士2年。東北大学クイズ研究会所属のクイズプレイヤー。個人的な実力は「東北ではそこそこ強い」といったところで、全国的には「大会で見かけはするけど勝ってるイメージはあまりない」みたいな感じ。結果を求めてそこそこ頑張ってきた人くらいに認識してもらえれば大丈夫です。abcチャンプの翌週は荷が重すぎる。
さて、みなさんが最も快感を覚える瞬間はどんな時でしょうか? 私にとってのそれは「鍛錬がばちこりハマってクイズ大会で正解を積んだ時」です。今回は思い出のクイズとして、過去1番気持ちがよかった「No.1ばちこり」を紹介しようと思います。
……の前に、クイズの練習って何? という話から。
※この記事でいう「クイズ」とは、一般的な早押しクイズのことです。
クイズの練習「フリバと座学」
早押しクイズで勝つためには、誰よりも早くボタンを押して正解にたどりつく必要があります。
早くボタンを押す方法を超ざっくり分類すると、「相手より速くボタンを押す」か「相手より前のポイントでボタンを押す」かの2択。この2つを磨く代表的な方法が「フリバ」と「座学」です。
「フリバ」とは?
「フリバ」とは、簡単なルールでの早押しクイズを繰り返すこと。「フリーバッティング」の略です。問題に対する反応速度を高めたり、他のプレイヤーの押しを真似したりして実力を高めることができます。
「座学」とは?
「座学」とは、能動的に新しい知識を蓄えていくこと。相手よりも前のポイントでボタンを押したいならば、深い知識をつけていくしかありません。ネットや書籍から知識を得ることもありますが、多くの場合、クイズプレイヤーは「クイズの問題集」で座学をしています。クイズの問題集とは、クイズプレイヤーが各々頒布・販売している同人誌のようなもの。クイズ宅配便さんなどのサイトで購入することができます。
自分の指だけが動く。最高の瞬間。
脱線が長くなりました。本題。
私は座学大好き人間です。理由は単純。周りの猛者が誰一人動きだせない中、自分の指だけが動いている。その瞬間が好きで、それこそが座学の到達点だから。
「しんしゃほうい/
私の自慢の押しポイントです。
答え、わかりますか? わからないと思います。私だけがわかる。それが気持ちいいのです。ガハハ。
この「ガハハ」を頭にたくさんストックしていくことが私の座学の醍醐味なわけですね。
そして、この「しんしゃほうい」こそが私の思い出のクイズ。
こいつが微笑んだのは、2019年に開催された「STU22」という大会の2Rです。
STUシリーズで3度目の予選通過。予選を通過した過去のSTUシリーズは、12人で争う2Rで全て敗退している。今回こそは3Rに駒を進めたいところだ。
2Rが開始されると、開幕早々に1つ正解を積むことができた。いい感じだ。まだ序盤ではあるが、ここで仕掛けてしまいたい。問読みに耳を澄ませる。
「問題。しんしゃほうい――」
キタ。俺の脳内メモには、その言葉がある。指、動け、早く、光らんかい!!
「心射方位図法の地図では/
光った。問題はだいぶ読まれてしまったが、それでも値千金の押しには違いない。
他のプレイヤーが動けずにいる中で、一人だけ動き出し、マイクに顔を近づける。
会場の視線を独り占めする。この瞬間が何よりも気持ちがいい。
「大圏コース!」
大圏コースとは、地球上の2地点間を結んだ最短経路のこと。「心射方位図法の地図では常に直線」で記される。「正距方位図法の世界地図では円周上」な「
「しんしゃほうい」で始まる言葉は「心射方位図法」、「心射方位図法」で始まるクイズは「心射方位図法の地図では常に」なのだ。勘と座学による一点張り。
正解音が鳴る。拍手の音が響く。嗚呼、カ・イ・カ・ン。これだから座学はやめられねえや。
ちなみに、この後は更なる正解を積むことなく結局2Rで敗退しました。ままならない。まあ、そこがクイズのおもしろいとこでもあります。
お付き合いいただきありがとうございました。競技クイズの快感を伝えることができていたら嬉しいです。
競技クイズに興味があるそこのあなた! 鍛錬の先にある快感を一緒に楽しもう!
過去の「思い出のクイズ」はこちら。